デザインの役割
デザインとは課題解決の手段
"デザイン"と聞くとどんな印象をお持ちでしょうか?
見た目を美しくするなど、装飾的な役割を思い浮かべる方が多いでしょうか?
最近は、「情報を見やすく、読みやすくする」などの役割も以前より浸透してきたようにも感じますが、それもあくまで課題解決に対する手段の一つです。
さらに言えば、「情報を見やすく、読みやすくする」というのは、情報提供する側が最低限備えるべきものと言い切っていいと思います。
では、その『デザイン(ここでは主にグラフィックデザイン)』を課題解決のためにどのように機能させていくか、そのために現時点でどのような考え方を私がしているかをまとめてみました。
まずは、言葉の定義から丁寧に始めたいと思います。
「問題」と「課題」の違い
デザインは「課題解決の手段」と言いましたが、「問題」と「課題」という単語についてはしっかり意識して使い分けています。
この言葉の使い方で会話が噛み合わないこともかなりあるため、ここの使い分け、実はとても重要だと考えています。
2つの違いを結論から言うと、「問題」は表面化した事象で、「課題」はその問題が起きた要因のことだと捉えています。
例えば「記事を読んでもらえない」という問題(表面化した事象)に対して、A.「ユーザーにとって記事が文字ばかりで読みづらい」B.「ユーザーにとって記事を読む必然性がない」など、なぜ読んでもらえないのかが課題にあたります。
課題設定を間違えれば問題は解決しない
ここで一つ重要なことに気づいた方もいると思います。
読んでもらえない要因は、Aかもしれないし、Bかもしれないし、A・B両方かもしれないし、実はどちらでもない可能性もあるということです。
課題をAと設定し、わかりやすい記事を作ったところで、読む必然性を感じていない人には届きません。
記事をデザインで読みやすくするという解決策が機能するのは、ユーザーの中に「文字ばかりで読みづらい」という課題がある時です。
つまり、課題設定を間違うと問題は解決しないのです。
ですから、デザインを解決の手段として活用する場合は、課題の設定が最も重要になります。ここをおろそかにして、手段にだけ頼っても成果は出ないと考えています。
ユーザーにとって何が課題なのか、ヒアリングだけでなく、注意深く観察するなど、ユーザーに寄り添いながらも主観に引っ張られることなく「本質的な課題」を設定する必要があります。
上記の考え方に関しては、デザイン思考がベースになっています。
デザイン思考とは、デザインのプロセスを問題解決のフレームワークとして落とし込んだ手法のことです。私は、下記書籍などを参考にしています。
参考文献:
『デザイン思考が世界を変える』ティム・ブラン(著)
また、問題解決や課題設定に関しては、参考書籍はたくさんあるのですが思い出せる範囲だと下記書籍などを参考にしています。
参考文献:
『イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」』安宅和人(著)
『論点思考』内田 和成 (著)
『仮説思考―BCG流 問題発見・解決の発想法』内田 和成 (著)
今日はデザインの話まで行きませんでしたが、上記のようなプロセスをなるべく経るようにしています。デザインは魔法の杖ではなく、課題設定と、その課題に対してどんなアプローチをしたいかを具体化したアウトプットでしかないということです。
次回は、課題設定ができた後のデザインプロセスの話をしたいと思います。
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