地球環境と生物多様性の保全について

SDGsと生物多様性の保全は密接に関連しており、持続可能な未来を実現する上で特に重要です。今回は、SDGsと生物多様性保全の関係性について簡単にご紹介します。

SDGsにおける生物多様性の位置づけとは

SDGsの中で、生物多様性保全に直接関連する目標は主に以下の2つです

目標14「海の豊かさを守ろう」

目標15「陸の豊かさも守ろう」

特に目標15は、「陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する」ことを目指しています。

生物多様性保全の重要性の理由とは

生物多様性の保全は、単に自然を守るだけでなく、人類の持続可能な発展にとって不可欠です

1. 生態系サービスの維持：生物多様性は、食料供給、水質浄化、気候調整など、人間の生存に不可欠な生態系サービスを提供します

2. 経済的価値：多様な生物資源は、医薬品開発や新たな産業創出の源泉となります。

3. 気候変動への対応：健全な生態系は、炭素吸収や気候変動の影響緩和に重要な役割を果たします

SDGsと生物多様性保全の相乗効果について

生物多様性の保全は、他のSDGs目標の達成にも貢献します

• 貧困撲滅（目標1）：生態系サービスは、特に農村部の貧困層の生計を支えています

• 食料安全保障（目標2）：生物多様性は、農業の生産性と持続可能性を向上させます

• 健康と福祉（目標3）：生物多様性は、伝統医療や新薬開発に不可欠です

• 気候変動対策（目標13）：生態系の保全は、気候変動の緩和と適応に貢献します

生物多様性保全に向けた取り組みについて

SDGsの達成と生物多様性保全を両立させるためには、以下のような取り組みが重要です

・保護地域の拡大：2030年までに陸と海の30%以上を保護地域として効果的に保全する「30by30」目標の達成

・持続可能な生産と消費：生物資源の過剰利用を抑制し、持続可能な方法での利用を促進する

・生態系の回復：劣化した生態系の30%以上を再生する取り組みの推進

・外来種対策：侵略的外来種の影響を軽減するための対策実施

・気候変動対策との統合：生物多様性保全と気候変動対策を一体的に推進する

SDGsにおける企業の役割について

企業も生物多様性保全に重要な役割を果たしています。企業が果たすべき役割についても簡単にご紹介します。

サプライチェーンの見直し：生物多様性に配慮した原材料調達の実施

事業活動の影響評価：生物多様性への依存度と影響を評価し、対策を講じる

イノベーションの推進：生物多様性保全に貢献する技術や製品の開発

情報開示：TNFDなどのフレームワークに基づく生物多様性関連情報の開示

企業が生物多様性保全のために取り組むべき課題

特に、企業が生物多様性の損失を食い止め、回復させるためには、下記の課題に取り組む必要があります

・横断的な社会変革：経済・社会・政治・科学技術における根本的な変革の推進

・資金動員：生物多様性保全のための資金を大幅に増額する

・国際協力の強化：生物多様性保全に向けたグローバルな取り組みの推進

・教育と啓発：生物多様性の重要性に関する理解を深め、行動変容を促す

SDGsと生物多様性保全は、持続可能な未来を築く上で不可分の関係にあります。両者を統合的に推進することで、人と自然が共生する社会の実現に近づけることができます。