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大晦日に掃除をするな

大掃除はタイヘンだー。

何年か前のこの時期、みんなでシュラスコを食べながら、ため息まじりにつぶやいたら、若い男性から返ってきた言葉が忘れられない。

「ふだん掃除をしているので、とくにすることがないんですよね。換気扇をきれいにするぐらいしか」

会社で仕事をして、共働きの奥さんと小さな子どもたちを育て、アウトドアも楽しんで忙しそうなのに、いつなんどき家をきれいに保っているのか。

そういえば、家事代行サービスが話題になったころ、どのような人が利用しているのか話を聞いたことがある。

意外なことに「きれい好き」な独身男性が多いというのだ。家があまりにピカピカに保たれているので、週1回訪ねても、「ゴミ捨てくらいしかやることがない」と家事代行の人が困り笑いをしていた。ペースメーカーとして家事代行の人に来てもらうのだとか。

そうだ、日々家を快適にしていれば、年末にため息をつくこともないのだな。そう思って、私も心を入れ替えたはずだった。

しかし、捨てたいものが山ほどあるのにいつかは使えそうと捨てられない。ゴシゴシこすってピカピカに磨きたいところがありすぎて、もうどこから取りかかっていいやらわからない。

そして相変わらずの大晦日を迎えている。

「心地よさ」をいかに感じながら日々を過ごすか、それが大切。だから、ホテルの部屋なみにすっきりさせたいと私も思う。しかし、机に書類が折り重なって山盛りになったとして、慣れてしまえばそれに「心地わるさ」を感じなくなる自分もここにいる。

ならば「きれいでピカピカ」のデフォルトを保つにはどうしたらいいのか。

そこで思い出したのが、キューバの家だ。民泊の多くは、家族も一緒に住んでいる。家のつくりが日本と大きく違っていて、「玄関をあけるとすぐ客間」になっている。

そこに近所の人やお友達などがコーヒーを飲みにくる。いかにもぶらりと立ち寄る人もいる。

客間は毎日、床をモップでピカピカに磨く。ダイニングテーブルやロッキングチェアなどが置いてある団らんのための空間は、誰かが「いつ来てもいい」状態になっているのだ。

こうした「外圧」があれば、私もきれいでピカピカが保てそうだな! などと妄想している間に、あれ?大晦日もいい時間になってきた。

まずは妄想しがちな頭のなかから、お掃除を始めましょうか。

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斉藤真紀子
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