歌うということ。歌を聴いてもらうということ。
私の歌をこうして聴いてくれる日が、いつ最後になるかわからないんだなと、開演の直前マイクを渡された瞬間にふと思った。
沢山のマキタTを着た方がわくわくした顔で、私のことを笑顔で見てくれている。小さな子や小学生が開演を体育座りで待ってくれている。
力の限り歌おう。今日は今日しかない。
全身全霊だとマイクを握り直した。
このところ懐かしい自分に再会していて戸惑っている。初めての自分とも言えるかも知れない。
胸にエタノールがじわじわと染み込むような感覚がなんとも消えないのだ。