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プロフェッショナル
上品なクラッシック音楽が流れるホテルの朝食会場で、「キャッ」という短い悲鳴が聞こえた。
一斉にガタガタと椅子から立ち上がった家族の視線の先に、緑色にきらりと光るヤツがいた。
5センチは優に超える大きさの、仮面ライダーによく似た緑色のソレは、どこから入ってきたのか、堂々としている。
朝日が差し込む窓側のテーブルの下で、「みんなオレを見ろよ」と言っているようだった。
皆が遠巻きに見ていたが、誰も捕まえる様子はない。
これからバッタが飛び回る朝食会場になるのだろうか…、と固唾を飲んで見守っていると、異変に気づいたスタッフが足早に向かってきた。その人はスラリとした長身で、マスクをしていても一目で分かるほど美しい人であった。
「この人では無理だろう。誰か呼びにいくのだろう。」と思っていると、遠くからチラリと視線の端に緑色を認めた彼女は、さっとテーブルから紙ナプキン2枚をとりだした。
彼女は目にも止まらぬ速さでテーブルの横にしゃがみ込み、その緑色を両手でそっと包み込むと、少し微笑みながら「大変失礼致しました」と言い、お辞儀をして立ち去った。
その場にいた全員が憧れと尊敬の眼差しで、華麗にプロフェッショナルな仕事をした彼女を見つめた。そして場はサッといつもの朝食会場へと戻った。
彼女は田舎育ちで、毎日虫遊びをして過ごしていたのだろうか。
本当は手でつかめたけれど、食事をサーブするという役割を踏まえて紙ナプキンを使ったのだろうか。
実は虫はあまり好きじゃないけど、「ここは私がやるしかない」と腹を括って捕まえたのか。
いずれにしても【プロフェッショナル】な彼女に、私は心の中で「無理だろう」なんて思ってごめんなさい、と詫びつつ、拍手した。
そして、自分も彼女のようにプロフェショナルな仕事がしたいな、と思った。
【今日の質問】
・【プロフェッショナル】な仕事をする人とは、どんな人だと思いますか。
・あなたの得意なこと、苦にならないことは何ですか(それって実はすごく価値があることかも)。
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