9月の記憶(前編)
手術は無事終わりました。とはいえ最初に目が覚めたのはその1~2日後ですが。
体中管だらけで、特に太いドレーンが挿管されている手首上腕部や、鼠径部周辺は黒痣で皮膚が醜く染まっていました。これ、一生消えなかったら嫌だな。。。
例の人工呼吸に関しては、鼻腔挿管されていました。あれ、想定していた以上に不快です。
そして上半身は、ベッドに拘束されていました。そしてその隙間を縫うように複雑に点滴チューブが何本も絡み合っていました。
周囲は計器だらけ。ということはここはICUだな。。。
ICUにいるってことは、そこそこヤバい状態だってことだな。今も。
と、思いながらも呑気に昏睡。こんな状態が数日繰り返し。食事は摂れないので、命綱は点滴頼りです。
間もなく、病室が変わりました。一般病室ですが、個室です。医療費すっげいんだろうな。。。
その頃ようやく、「少しずつ」意識と記憶を取り戻し始めました。
手にはまってる丸いミトンみたいなの何?「ぼくドラえもん~~」
指の自由がききません。これ、このまま1週間もすれば絶対水虫になります。看護師に「不快だから外して下さい」と懇願してもダメー。当たり前です。
意識が戻って、次にヤバかったのが「尿意」です。
体中拘束されてるので、自由にトイレに行けませんね。
でも、「動物」として生きている以上、排泄は場所を決めてやるのが掟ですよね。
ナ、、、ナースコール。。。
「はーい、今行きま~す♥」
これがね、来ないんですよ。こっちは1分1秒を争う、生きとし生けるものとしての尊厳との戦いなのに。。。
背に腹は代えられぬ、脱出だ!!!
まずはすべてを阻む「ドラえもんミトン」との戦い(あえなく敗北)
体中を拘束しているベルトとの戦い(まるで勝てる気がしない)
もうわけのわからない器具などこの際どうでもいい。立ち上がらなきゃ(体に力が入らない)
点滴チューブ、これ勝手に抜いたらさすがにマズいだろ。。。
じたばた格闘している頃、看護師到着。
「ちょ、、、何してるの!!!動いちゃダメでしょ!!!」
はい、むっちゃ怒られます。そりゃそうです。私がベッドから脱出できないようになっているのは、しっかり理由があるのです。
そして時を同じくして私を襲う「人間の尊厳の消失」。膀胱を制御する筋力は、想像以上に衰えに衰え果てていました。
「ト、トイレに行かせて下さい(もう無駄ですけど)。。。」
「オムツもパッドもあるでしょ!!!」
あの、それ、医療側の理屈ですよね。私、人間ですよ。55年生きてきた大人としての尊厳。。。
さらに畳みかけられる叱咤
「『君』ねー、まだ体中に沢山大事な管が通ってるんだよ。これ全部抜くつもりだったの?特に腰とか手首に付いてるこの太いのが抜けたら、『キミ』、血だらけになって死んじゃうんだよ!命とお小水する場所とどっちが大事なの?!」
はい、「正論」です('A`)正論に反論するほど私もアホじゃない。
でもね、
また私は暴れました。
尿ならまだ耐えられるんです。
尿ならまだ。。。il||li _| ̄|○il||li
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