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【感想】「パラサイト難婚社会」山田昌弘

 パラサイトシングルに関する著書を、読もう読もうと思いながら読まずにきてしまったにもかかわらず、つい、タイトルに惹かれてこの本を買ってしまった。
 同性婚や選択的別姓に関するニュースが流れたり、ドラマで見たりする度に色々なことを思うのだけど、家族のあり方がこれまで(いうて数十年)と変わろうとも、お互いが思いやって過ごすことができれば、それでいいんじゃないか、ただ、それを支える制度は整えねばならないのではないかという思いに帰結する。そんな時にこの本を通して読んで、おこがましいことかもしれないが、著者の考えに近いのかなと思った。

 そして、山田さんが紹介する「○○婚」の言葉の種類の多様さに目をみはる。「結婚も色々だな」と思った。今まで、日常となった後の結婚生活にスポットライトが当たらなかったが故に、名前のつかなかった様々な生活の仕方がはっきりと見えてきたような気がした。それだけ、結婚生活は家庭という箱の中に閉ざされてきたのかもしれない。私も、夫の愚痴を外で言わないかと言えば言わないでもない(笑)。

 婚活について思ったのは「○○活」が近頃増えたように、自分で活動せねばならないことって増えたのかもしれないと思った。数十年前は、結婚も近所の人が紹介してくれたりしたのだろうか。今は自宅でネット環境があれば、食料でも趣味でも映像でもなんでも手に入るけど、結婚しようと思ったら、「婚活」しないとマッチングできない。しかも相手の思いは自分とは別なので、思い通りの人と結婚できるとは限らない。結婚できても、経済的な問題が発生するかもしれないので、結婚生活が順調にいくとは限らない。現代の結婚ってすごくハードルが高いなと改めて思った。相性の問題とお金の問題と、子どもや親のことまで考えだしたらきりがない。

 そうしたいくつものハードルを一気に飛び越えるような大ジャンプはできないけれども、目の前の人と丁寧にコミュニケーションをとることが大切だと思う。夫婦でも、子どもでも、親でも、友人でも、相手がだれであろうとも、思いやることを止めた瞬間から、信頼関係は崩壊していく。
 私もそれを度々忘れてしまい、しっぺ返しをくらったりするのだけれど、優しい言葉、優しい態度、優しい行動で、あなたが大切ですと伝え続けていきたいと改めて思う。