「ソーダをのむ」「青色」「歯がしみる」をイカします! #100日間連続投稿マラソン
イカ・・・?という方はまずこちらからお読みいただけると嬉しいです(*'ω'*)
「ソーダをのむ」
くコ:彡 くコ:彡 くコ:彡💦ピューン
蓋を開ける瞬間、どうしても目をつぶってしまう。
弾ける音。指先の衝撃。頬に飛ぶしずくの欠片。どんな風だか見てみたくて必死に見開いているんだけどどうしてもだめだ。さすがに成人を過ぎるころには見られるつもりだったのに、いまだに達成されていないのはかわいげがあるということにしている。
はじめて口にしたのはたしか小学校に上がったばっかりの時で、おばあちゃんの兄弟の娘の旦那さん、らしい信おじちゃんがペットボトルでくれたんだった。信おじちゃんは背が大きくて、目がぎょろっとして、笑い声も大きくて(下品だって言っておばあちゃんに嫌われていた)、私のボトルを手に取ると、
「いいか、これはこうするとすんごく美味くなるんだ」
と言ってペットボトルを十数えながら振った。
「ほれ、開けてみな」
ペットボトルの中は、白くて小さな泡でいっぱいになっていた。私は指先に力を入れて蓋をひねった、その瞬間、世界は全部泡になった。
前髪からしずくを垂らす私。母の怒鳴り声。おじちゃんの笑う声。
風鈴が揺れる。口をつけ、ペットボトルをゆっくり傾ける。泡が唇に弾ける。舌や頬を刺激してさらに奥へ。おじちゃんは去年の夏に亡くなった。甘くて、きらきらして、熱い。どうにも癖になってしまってあの日以来、もう何百回と飲んでいるけど、蓋が開く瞬間だけはまだ見ることができていない。
「青色」
くコ:彡 くコ:彡 くコ:彡💦ピューン
俺は彼女に連れられて、華やかな店の棚と棚の間を行ったり来たりした。照明がひどく明るい。白の強い光が目に入りすぎて、もとから色白の彼女が消えてしまいそうなくらいだった。彼女がある棚のところで止まって、目を輝かせた。
「これ唇に塗るやつ?」
「ちがう、爪」
大量の小瓶が整然と並び、そのひとつひとつに値札がついている。彼女は唇を噛みながら瓶たちの頭上で指を彷徨わせ、ひとつを手に取った。
「これは『海の色』。変わってるでしょ、この店がつけた色の名前なの。こっちは『水の色』、これは・・・『夜空の色』、『スクール水着の色』、『信号「すすめ」の色』、『ドロレスの目の色』、『地球の色』、『晴れの日の空の色』とか。これめっちゃきれい」
「こんなのどれも同じ色だろ」
「はあ?」彼女は俺をにらみつけた。「ばっかじゃないの」
「いや、同じにしか見えねえ」
「男って本当に損だよね」
彼女はぷいと顔をそむけると、『ドロレスの目の色』の瓶を手に取ってレジへ向かった。店員がうつむきながら笑うのを堪えていた。
「歯がしみる」
くコ:彡 くコ:彡 くコ:彡💦ピューン
彼は私からあずきバーを受け取ると、満面の笑みでお礼を言ってさっそく袋を破いた。破片がカーペットに落ちる。動き出したばかりのエアコンがもうやる気をなくしている。私はゴミを拾って捨てた。
赤紫のアイスが取り出された。湯気が立っている。
「ごめん」
「何?」私はバニラアイスのカップの蓋を取っているところ。
「俺、あずきバー食べるときめっちゃブスになるから」
そういうと、彼はくるりと回転して壁のほうを向いた。両手で木の棒を持ち、かじりつく。相変わらず猫背で、それを覆っているくしゃくしゃの白シャツ。
突然、肩が震えた。
「何?」
「何でもないよ」
また震える。
「何ってば」
低い悲鳴。
彼が振り向いた。上の前歯を指で押さえている。顔がしわくちゃになっている。足をじたばたさせて、埃が舞った。
「あー、やっぱりだめだあ!」
彼はアイスをそのままテーブルに置いて、指で歯を擦った。それから舌で包み込んで温めた。ゴリラのまねみたいだ。
「歯医者行く?」私は皿を持ってきて言う。
「いかない」聞き取れないくらいの声で、彼が答える。
#100日間連続投稿マラソン 6日目でした!お付き合いいただきありがとうございました(*'ω'*)
イカ変態同好会について
昨日、こちらにて #イカ変態同好会 についてお知らせさせていただきました。
イカ活動を面白がってくださる方がたくさんいらっしゃって、とても嬉しかったです!本当にありがとうございます!
やっぱり、noteにはイカ変態さんたちが棲息していらっしゃるんですね。
今日から7月25日(日)まで、イカ変態同好会が生きています(*'ω'*)
参加方法は簡単です。noteかTwitterに、 #イカ変態同好会 とタグをつけてお題をイカします!
お題は「辛いものを食べた」「彼 / 彼女のことが大好きだ」「青色」「おしりがかゆい」「眠い」「私は太った」「鼻血が出た」となっております。
どしどしご参加ください!お待ちしております!
では、また明日お会いしましょう(*'ω'*)✨