わたしの実家はエルボリステリア?
わが家にはわたしの実家から定期的に両親の作る手作り野菜が届きます。
特に夏は、トマトにキュウリ、ナス、ゴーヤ、インゲン、ピーマンなどなど畑も賑やかになるので、いつもより短いスパンでの定期便となります。
30歳を越えても、両親には世話になってばかりでありがたいことです。
さて今日の定期便には、加えてハーブティが入っていました。
ハーブティと言えば聞こえはいいですが、庭にあるゲンノショウコを乾燥させた和ハーブです。
思えばわたしが幼い頃、祖父は庭にあるドクダミやゲンノショウコを摘んでは乾燥させお茶にしていたものです。
その他にも、山で採ってきたヘビイチゴをリカー漬けにしたものを打身の手当てに使ったり、ヨモギを摘んできてヨモギ餅を作ったり、そうしたことは日常だったことを思い出します。
フランスにはエルボリステリア(HERBORISTERIE)というハーブ薬局がありますが、もしかしたらわたしの実家は和製エルボリステリアのようなものだったのかもしれませんね。
ハーバルライフ、ナチュラルライフと取り上げられる昨今ですが、昔ながらの生活の中ではそれはなにも特別なことではないわけです。
フランスのハーブ農園に行った時も、朝食前にはその日の体調に合わせて庭のハーブを摘み、フレッシュハーブティをいただくことが当たり前。
このように、自然と共に生きることは自分を見つめ、自分の身体の変化やその日のコンディションも自然と分かるようになるのではないかと感じました。
そう考えると、わたしの幼少期の生活は今となってはとても贅沢なことだったかもしれません。
けれど当時のわたしにとっては、まったくその有り難みも分からなかったし、それどころか、そんな田舎の生活より都会の生活に憧れて、いつか東京に住みたいと思ったものです。
そして今、その頃の夢を叶えて東京に暮らすわたしです。
東京の生活は便利で、いろいろな人がいて、刺激も多く、得たものは数知れません。
それでも年々とかつての自分の生活がいかに贅沢なものだったのかと思うことがあります。
けれど、引き続き田舎に暮らす母は、たまに東京に遊びにくるのを楽しみにしているようだし、便利な暮らしが羨ましいと思うこともあるようです。
人はそのように無い物ねだりをしてしまうものだし、物事にはすべてメリットとデメリットがあるものです。
それでも、和製エルボリステリアで育ったからこそ、大人になった今、自然の素晴らしさや大切さを身を以て実感し、それを引き継げていることに感謝して。
もし今後世代を引き継ぐことがあれば、伝えていくことができたらと思ってやみません。