若いときの苦労はできるなら避けて
「若いときの苦労は買ってでもしろ」。いやいやいやいや…。そんなことはないんじゃないの、と感じた話です。
若いときに苦労を経験しておけば、我慢強くなって人生で立ちはだかる様々な困難を乗り越えられるようになるよっていうことだと思うのですが。
「苦・労」ですよ。苦しい労。ほっておいても避けられない苦しい労というのは、誰でも生きていれば経験するものです。だからわざわざそれを選ばなくてもいいんじゃないの、買ってでもなんて噓でしょ。ほしい人いたら利子つけてあげてもいい!
私も日本で育ったし、日本に戻って子どもは公立の幼稚園に途中から入園し、今小学校に行っているので、彼を見ていてふと、今日の朝、思いました。
多分私は我慢強いほうだと思います。つまらない愚痴は言うけど弱音はあまり吐きません。でも、だからって「我慢好き」ではないです。我慢が好きな人なんて世の中にいないでしょう。
なのにね、苦労に勝つのが美徳、我慢強いのが美徳、みたいなことに知らずになっているんですよ~、日本人は!
無意識で。
子供が公立の幼稚園に行っていたときに、卒園前の最後の遠足がキッザニアでした。職業体験ができる施設ですね。ペアで回ることになっていたのだけれど、ある日先生が
「最後の遠足は、あまり仲良くなかったお友だちと一緒になりましょうね」
と言って、うちの子は、さんざん喧嘩して泣いて泣かしてばかりしていた女の子と
「すーっと引き合うように二人が近づいてペアになってました(にこっ)」
と、報告してくれました。
私は、そのときまだまだスペイン人みたいなものだから、めちゃくちゃびっくりして
「え・な、なんで?なんでわざわざ仲良くない子と、しかも最後の遠足で?」
と頭のなかはてなマークでいっぱい。他の保護者の方たちも何の疑問もなさそうだし、おかしいのは私なのだな、と。先生はずーっとそのやり方でやっていて、そういう世界しか知らないのですよね、多分。とても一生懸命してくれていて感謝していたし、人の考えに踏み込むことはしたくないから
「そうですか~、喧嘩しなかったらいいですけど」
と返事しておいたような。う~ん…でも時々思います。うるさい人だとか変な人だと思われても、子どもを守らなきゃいけないことはある…。
この間も小学校で、ある子とちょっとトラブルがあったのですが、そしたらペアで活動するときに先生はちゃっかりうちの子とその子をペアにしてました。
いやいやいや…ご縁があったら、そのうちまた話すだろうし仲良くなるんだから、ほっといてもいいんじゃない?
結果、もう忘れてやった!と子どもは言っていたので良かったのですが、賭けですよね。学校行きたくない問題もあるし。
批判はしたくないのです。みんな一生懸命してくれているのは分かるから。ただ、知らず知らずに(か意図的にかは知りませんが)、しなくていい我慢をさせられてる、させてるというところがある気がします。そしてそれに慣れてる私たち。で、我慢慣れしてるってことにさえ気付いていない私たち。
知らずに自ら我慢の道を選んでるってこと、ないかなあ…。私は、ある気がするんですよね…。
スペイン人の我慢レベル、無理できるレベルは、日本人と比べたらそりゃ低いです。そういう教育は受けていないから。どっちかというと、困難を乗り越える力より、困難を避ける力を養われていると思います。
そりゃそうです…かわいい子どもが自ら飛び込んで困難をなんとか乗り越えようとしている姿より、ハッピーオーラ満開でいてくれる姿を見たいよね。いや~、違うのかな。テレビ番組の「はじめてのおつかい」なんて、小さい子どもたちが、不安で泣きながらもやりとげる姿…反響ありそうだし。日本人の好みなのかな。スペイン人の夫は、理解できないと言っていました。
とはいえやっぱりどこの国の人でも生きていれば避けられない困難や乗り越えなきゃならない壁はやってきます。
で、スペイン人もちょっと頑張ったり、無理したり、努力したり、もちろんしています。でもしているときは、愛がベース。苦労は乗り越えなきゃならないものだから、とかそういうものだから、で無理はしていなくて、家族のためとか、彼、彼女のためとか、友達のためとか。普段あんまり頑張れない人たちでも、わ。やればできるんだ…と。我慢の目的は、自分が主体。他者からどうこう思われるから、ではなく。
小さなチャレンジで、難しいことを乗り越える経験を積み上げて、「やった!私もやればできる」って自己肯定感を高めていくことは、いいことだと思います。私も気が付いたら日々してます。でも乗り越える経験がほしいからチャレンジをするというわけではないかな。チャレンジと苦労もちょっと違うけど。
老いも若きも、しなくていい苦労なんてしなくていいんじゃないでしょうか。しなきゃならない苦労からは逃げずに向き合えたら。
性別、年齢、国籍とか関係なく。自由で自立した、あなたらしいジンセイ、選びませんか?思うところいろいろ書いています。フォロー、スキ、サポート感謝です!