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伝統医療アーユルヴェーダ×医薬品医療機器等法

インドやスリランカで5000年前から行われている伝統医療のアーユルヴェーダ。現地では医療なので治療の一環として行われますが、日本ではボディトリートメントの施術方法として知られています。

リラクゼーションや保湿など日本の医薬品医療機器等法の効果効能を逸脱した表現を使用していたり、使用している商材が食品というサロン様も多く、薬事法管理者としても気になったので「アーユルヴェーダ×医薬品医療機器等法」でまとめてみようと思います。


医薬品医療機器等法に触れる恐れがあること

トリートメントオイルとして使用されることが多いセサミオイル。
日本ではごま油という名称もありますね。キャリアオイルではなく、食用のごま油を"キュアリング”といって、自身で煮詰めて程よく精製し施術に使用しているとよく耳にします。


アーユルヴェーダでは、精製されすぎていない食用のごま油は、皮膚から浸透し骨まで到達し、身体の奥深くに溜まる毒素を排出すると伝えられています。

確かに植物性の油には、脂肪酸が含まれており、人の皮脂にも脂肪酸が含まれているので、ワセリンやミネラルオイルなどの炭化水素油よりも皮膚に馴染みやすいですが、角層までが一般的です。


スクリーンショット (461)

時事通信社
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021110400609&g=soc

2021年11月4日、警視庁生活環境安全課はアーユルヴェーダサロンを経営している女性を医薬品医療機器等法違反の疑いで、書類送検しました。

スリランカから輸入した未承認医薬品の粉末や錠剤を販売した疑いや、風邪に効くなどと謳い、天然由来のお茶もネット上で広告していたそう。


過去、東京都において「医薬品等適正広告基準」違反であると指摘されたものの中で、身体の中に作用しているような表現のものを例にすると

「リンパ液の流れや血液の循環を良くし、脂肪を燃焼させます。」というマッサージオイル。
化粧品では、塗って痩せる等の効能は、化粧品で認められた効能の範囲を逸脱している。


その他「脂肪に直接作用し分解する」というマッサージクリームなども、同じく身体の組織機能の増強や化粧品の効果の範囲を逸脱しているとの見解が示されています。


景品表示法でも要注意

骨まで浸透するというのは比喩的な表現かも知れませんが、お客様に誤解を与える表現は優良誤認になりえ、景品表示法にも触れる場合があります。


人間の身体はよくできているもので、体内でいらなくなったもの(水分やアンモニア、尿素など)は毒素といわれますが、肝臓や腎臓で分解処理されます。

必要なものは身体に再吸収され、いらないものは、なにもしなくても自然と尿と一緒に“排出”されていきます。

決してオイルが骨まで浸透して排出しているのではなく、あくまでもトリートメントで滞っていたリンパの詰まりを促すから、毒素が解消されやすくなるということなのです。


食用油を身体に塗布するメリットとデメリット

メリットは、美味しそうな香りがする…だけではないでしょうか。

デメリットは、赤みや痒みを感じる。最悪の場合は命に関わるアレルギー反応を起こすことも。

食品は食べるものなので、風味を活かすために精製しすぎないようにしているものもあります。そして胃酸という強酸で、ある程度の雑菌を処理することができます。

しかし肌は、弱酸性なので雑菌を処理しきれません。

例えば山芋を食べてもなにも肌に影響を与えないのに、肌に触れると痒みを起こす人もいらっしゃいます。
様々な材料が食用と化粧品用に分かれているのは、できるだけ多くの人の肌に何かしらの反応が出にくいようにしないといけないからなのです。


食用と化粧品用は効果効能が異なる

ごまの食品としての栄養素は
・ゴマグリナン
・ビタミンB群
・ビタミンE
・ミネラル類

など抗酸化成分も豊富で、食材としても優秀。
細胞が酸化しすぎることを防いでくれる抗酸化食材と期待されています。


化粧品の効果としては
肌の水分蒸発を抑え、肌を柔らかくするという効果報告も多いため配合されています。


ごまの種類によって栄養価に大差はないようですが、アーユルヴェーダでも使用されることが多い太白ごま油は、白ごまを煎らずに生のまま抽出した油のことで、非加熱のものは純粋性があるといわれるため人気です。


白ごま油は、炒ったごまから抽出したもので、色の濃さは炒り度合いにより異なります。


確かにごまは栄養価も高く身体にいい食材ですが、それを肌に塗ったところで、肌から栄養素は吸収されないし、デメリットのほうが高いので、トリートメントには化粧品のキャリアオイルを使用しましょう。


化粧品のオイルなのかを見分けるポイント
・名称や原材料名に"食用”と書いている場合は食用なので×
・全身用、フェイス、ボディ用などと用途が記載されている
・「ごま油」ではなく「セサミオイル」と販売されている製品が多い


最後に

アーユルヴェーダサロンにいらっしゃるお客様は、異国情緒あふれる店内の雰囲気などにリラックスを求めに来る場合や、何かの疾患や病気に悩んでいるというかたもいらっしゃいます。

熱心な施術者は現地に留学などをしてアーユルヴェーダ医から薬草学や解剖学なども学んでいるでしょう。

ですが、施術者は医師ではないので薬草を使用した治療はもちろんできません。何かしらの疾患に悩む人は、わらをもつかむ思いで伝統医療に期待を込めている場合もあります。

その思いに答えたい気持ちもわかりますが、私たちに疾患を治療する術はありません!
トリートメントの最大のメリットはリラックス効果を与えること。これは熟練の技術と香りの相乗効果です。


自身でキュアリングしたオイルをベースに、様々なフレッシュハーブを調合し煮出すトリートメントオイルを使用することは、危険と隣り合わせだということを頭に入れておいてほしいと願います。


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