盛岡台湾プロレスへの道~番外編『1秒先の彼』から受け取った回答はと言えば

2023年七夕より公開された『1秒先の彼』。
台湾映画『1秒先の彼女』を宮藤官九郎が男女逆転させて、舞台を京都に置き換えた脚本で撮影されたちょっとほろっとさせられるはず、のコメディ映画。

前回の記事の通り、原案である『1秒先の彼女』について愛着がある自分としては、「期待する面もあり、懸念点もあり」という作品なのだが。


さて、今週初め、自分以外は観客がもう一人しかいなかったほぼ貸し切り状態の平日日中の盛岡のルミエールで鑑賞をした。

結論から言うと
「解像度あがって、結果的にリメイク以上によくできた映画になっていたのではないか」ということ。

これから鑑賞する人のためにネタバレにならない程度に書くと。

男女逆転して自由度が上がったのかそれがいい効果になっていた。
「彼」を原案のまま郵便局員にしたのは、日本の郵便局の配達は主に男性っていう実情を考えると適切だったかもしれない。
「配達いってきます」と言って、郵便局の制服着たままバイクで飛び回るのが現実的なのは「彼」なのだ。
「彼女」はバス運転手ではなく学生になっていたが日本版オリジナルキャラ(山田良々演じるバスの運転手)が出てくることで、ストーリーに膨らみが出たと思う。

オリジナルキャラだけでなく日本版オリジナルエピソード(パピコ、長い苗字)もあり、それが伏線となっていて、それを回収することで原案のエピソードも説明好きな日本人にはわかりやすくなっていた。

そして、リメイクでは悪い奴が一人もいなかった。
原案『1秒先の彼女』では、「彼女」と恋人イベントに出る予定の男子が単なるヒモ男的なヤツで、いいところがまるでなし。大悪人ではないけれど。

しかし『1秒先の彼』では「彼」と恋人イベントに出る予定だった女子はある目的があってそのために「彼」とつきあっているという面もあるので、嫌な奴に違いはないが、彼女なりに必死なのでなんか憎み切れないのだ。
クドカン作品『あまちゃん』でいえば、ユイちゃんやマメりんみたいな感じといえばいいか。

クドカン的なクセはやっぱりあるけれども、構成もしっかりして理解しやすくなっており、おそらくどの年代の人が観ても素直に内容が入ってくると思った。だから案外と評価を得る映画になるのではなかろうか。(それは今後の話しだけど)

先日書いた通りの疑問や懸念についてはこんな感じの回答

・男女逆転したことで、彼(岡田将生)の運ぶ方法について「どーするんだ?」という疑問
さすが日本の観光地を舞台にしただけあって(海のシーンは宮津)、人力車を使って海近くまで運ぶ。
清原果耶はバス運転手でもないのに、バス移動はどうするのかという点についてはオリジナルキャラで山田良々のバス運転手が登場し、この人がいることでストーリーもうまくまとまっている。

・清原果耶を変態ストーカーになるのかという疑問
さすがに「彼」⇒「彼女」に変換された清原果耶を変態ストーカーにはしなかった。
ストーカーには違いはないが、大人しいちょっと変わった子くらいに落ち着いていた。むしろ、「彼女」⇒「彼」に変換された岡田将生についてはいけずで感じが悪く、変態度が上がってる。宇治だけどやっぱり京都人か。

・情人節(バレンタイン)はどうするんだ!という疑問
さすがに日本に合わせて冬ではなかった。
七夕情人節のイベントの件については花火大会のイベントということで納められていたので、「すっごい特別な記念日がなくなった」感は薄れた印象。とはいえ、台湾の七夕情人節の日は実際に花火大会があるのでそこにはきっちり寄せていた。

ざっとこんなところだが、細かいところにしっかり気配りされていた。
すでに、男女逆転しているところで「ない」話だが、絵の雰囲気だけ撮りたい感じやストーリーだけ追った感じで矛盾が気になる点がほぼなし。

単純に作品として楽しめた。
このくらいやってくれたらリメイクも楽しんで観られるな。

7月から日テレ系で台湾ドラマのリメイク作品『CODE』を放映しているけど見習ってほしい。(いまのところ脱落してません)

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