長い長い夜
最近
寝つきが悪いのは
お昼寝のし過ぎかもと
自覚しながら
今日に至っては
雨音のせいだけど
眠れないなら
寝なくてもいいやと
開き直って
こうして
メモったり
興味のある人の
言葉をたどったり
悪循環の渦に
自ら身を投じて
二燭光の
仄かな橙を飲み込むような
天井を眺めながら
ふと
幼少期も
こうして
夜をやり過ごしていた事を思い出す
弟が救急車で運ばれたり
仕事絡みで
母が
呼び出されて出掛けて行ったり
近所の家が火事になったり
不眠症の祖母の
物音が気になったり
怖い夜を知ってしまったことも
理由の一つだし
もう一つ
思い当たるのは
父の不在である
守ってくれる
頼りになる
そんな大きな存在が
我が家には
居なかった
離婚する前から
仕事柄
父の不在は
日常だったから
居なくて
当たり前だったし
寂しいという感情は
無かったはずなんだけど
私を造り上げる要素として
明らかに
欠落しているところがあって
それが
「父」であったことに
気付いたのは
わりと遅かった
そこを埋めようにも
同じ形のピースは
あるはずもなく
いくつかの
小さなパーツを
詰め込んで
誤魔化しては
氷のように
すぐに
溶けて失くなって
また
違うもので
埋めてみる
そんなことを
繰り返しながら
2000年を迎えた
結婚して
子どもが生まれて
夜泣きする我が子を
抱きながら
歯ぎしりと
寝言を言いながら
眠る救世主が
憎らしく感じた日も
あったけど
今も
同じ部屋で
布団を並べて
寝てる人が居る
それだけで
安心な夜なのだ
年頃の娘たちにしてみれば
煩わしさもある存在だろうけど
私にあったあの空白は
娘たちには
きっと無いはずだと
信じている
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