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⑯YUKARI ジャズ・フルーティスト No.14(最終回) 次世代に伝えたいこと

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サウンド・ヒーリングを始めたころは、
「癒す」ことに集中していたが、
セッション相手が「本来の自分を見出すこと」が
なにより本人にとっての癒しだと気が付き、
最終的には、そこに辿り着ける音を追求している。

その域まで到達するには、相手との信頼関係はとても大切で、
言葉で補う必要がある場合もあり、セラピストとしてのメソッドも学んだ。

セッションは意識交換でもあり、
こちらから癒しのエネルギーを届けられる反面、
相手の病気やストレスからくるネガティヴな影響を受けてしまうことも有ると言う。

「それを包みこみ、ポジティヴな方向にナビゲートできるような音を出せるよう、
自分の器を大きく深くしていくことも課題の一つです。

癒されることで人の気持ちが満たされていくと
家族、友人など、まずは身の回りの人に
自然とその満ち足りた感覚が浸透していき、
その輪が、ひいては社会、地球のレベルで広がっていくように思います。」

NYの競争社会の中、自意識を強く持たざるを得ず、
その場所ではYukariさんも最終的には自分の幸せを見いだせなかった。

病気を経験し、大きな変化に向き合いながら、
狭義での自己実現にベクトルが向いていたエゴから
自身も自然と解放されたように思う。

今は、ヒーリング・セッションとその学びを通じて
他と自分を区別するエゴと向き合っている。

その境界を取り除き、相手の幸せや安らぎを祈り、
相手の為にできることをすることは、
ひいては自分を豊かにしていくのだと気が付いていった。

「私はあくまで音楽家であり演奏家です。
今までの出会いや経験はどういう意味があったのか、
そこから自分の音楽を通じて何ができるか、
それを常に考えています。」

8.次世代に伝えたいこと

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森に近い場所で育ち、東京とNYという大都会の喧騒を通過して、
今こうして自然に恵まれたスイスに家族と住んでいる。

スイスの森は奥深く豊かで、
妖精さえもおとぎ話そのままに安心して存在できるのではないか、と
思えるような美しさがまだまだ残っている。

かつてハワイや沖縄で感じたように、
海には癒しや浄化のエネルギーを感じる一方、
山や森には温かい守りのエネルギーを感じる。

スイスは元々静養地として多くの人が訪れる場所で、
自分が住むようになって、更に
自然の持つ懐深い包容力を再確認できた。

子供を持つまでは思いも及ばなかったが、
自分が次世代の為に何ができるだろうかと考えるようになった。

自然が侵されていくにつれて、
食べ物にしても、生活にしても、
今まで普通にできていたことが困難になっていき、
美しい景色が姿を消していくことに痛みを覚える。

本来は、あらゆる生き物と共存という形で存在していたはずだが、
人間は力を持ちすぎてしまい、
その傲慢さから、地球という場所を借りて生かされていることを
徐々に忘れてしまったのだ、と思う。

たとえ小さなことでも一人一人が意識を持つことによって、
少しでも汚染や破壊が減速できるよう、
音楽活動と同時並行して、自分にできる手段で発信していきたい。

「美しい自然を残し、体に良いものを摂り、
皆が自分の道を安心して生きられる環境を次世代に繋げていけるように、
私の立ち位置で、できることを模索していきたいと思っています。」

素晴らしい音楽家になることが夢だと過ごしてきた日々もあった。
ひとつのことを追求し続けたからこそ、今いる世界に辿り着けた。

すべては、その為の時間だったのだ、今は思う。

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人は誰も「自分にとってのフルート」を心の底で探している。

そして、それぞれの方法と歩調を見出し、
その美しい音色を奏でるべく生かされているのかもしれない。

まだ40代半ば、この先も道は続く。
Yukariさんのフルートの音色はこの先も静かに研ぎ澄まされていくことだろう。


Fin

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