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④YUKARI ジャズ・フルーティスト No.2 フルートとの出会い

1.音楽家への道

・フルートとの出会い

音楽の道を進む原点になった瞬間をYukariさんは、鮮明に覚えている。
保育園で聴いたオルガンの音に、ハッとして、身体が動かなくなってしまったのだ。

言葉で思いを表現するのは幼い頃から得意ではなかった。
よりクリアに、コミュニケーションをとる手段が他にもあるのだと、子供心にも光が射し込む気がした。  

山に近い土地で育ち、森の中で過ごすのが好きだった。
樹々の間から差し込む陽のメッセージ、
頬をなでていく風の柔らかな感触、
草花のおしゃべり、さざ波が奏でるメロディ・・・
言葉にならない感動を表現できるかもしれないと、心が躍った。

5歳からピアノを習い始め、音楽的な素養を高めていった。
小学校の音楽の授業でフルートに出会い、一瞬で恋に落ちる。
やがて、フルートは、それさえあれば世界の果てまででも行ける「身体の一部のような存在」になっていく。

その音色も細長い銀色のシルエットも神秘的だった。
演奏している姿は優美そのもので、フルートの魅力はピアノ以上だった。

「母は、子供の気まぐれかと思っていたようでしたが、私の部屋には、紙を丸めて穴をあけた紙笛なるものが散在するようになり、ついに10歳にして念願のフルートを習い始めました」     

始めの頃は息のコントロールだけでも難しく、酸素不足で頭がくらくらするほどだった。
こんなに体力的に大変なものを、演奏家達はどうやってあんなに楽しそうに吹いているものかと、フルートを始めて何年も思っていた。
技術を高めることに囚われていた時期が長くあった。
勿論、表現に制限がかからない為に技量は必要だが、大分後になって、『伝えたいこと』が明確にあることの方がより大切なのだということに気が付いていく。

「もっと早くそこに思いが至っていれば、自分の世界観を出すことにあんなに苦労することもなかっただろうに・・・」

と、思う。が、誰しも通る必要な過程だった。
「自分は何を伝えたいのか」を意識できるようになって、むしろ技術的なハードルがクリアでき、自然と呼吸するように、思う音色を出せるようになっていった。     

(次回に続く)

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