サロン・デュ・ショコラ 2022!
2012年からサロン・デュ・ショコラ(以下SDC)のアテンド通訳のお仕事をいただいています。
そんなわけで、ここ10年は三が日が過ぎると、SDCに向けて気持ちがそわそわしてきます。
寂しいことに、コロナ禍で昨年と今年はフランス人ショコラティエの招聘がないままの開催。
当然、通訳の需要はなく、このムック本も臨場感希薄なままの購入となりました。
SDCの初仕事は以前にもご紹介した2012年初出店のフィリップ・リゴロさん。
makipatricia.blog.fc2.com/blog-entry-78.html
(優しいリゴロさんと気持ちの良い仕事をさせていただいたのですが、
残念ながら彼は2012年以来SDCには参加していません)
翌年、2013年に初参加のアヴェッカーさんの担当となり、
ラッキーなことに2020年1月まで8回、ファミリーのようなチームワークで仕事をさせていただいています。
フランスでは、家具などをはじめ、優れた職人を養成するコンパニオン(職人組合)・ドゥヴォワ・ツールという歴史の長い制度があります。
各分野の、フランス各地の優れた師匠につき、一定期間滞在し修行を積んでツアーしていくもので、
文字通り、もうひとつの「ツール・ド・フランス」ともいわれています。
その厳しさと長さから、様々な事情で脱落者もでてくるそうです。
アヴェッカーさんはその制度の下、各地のショコラトリー・パティスリーで実力をつけ、
2011年にMOF、そのほかにも数々のタイトルや賞を獲得した努力の人で、所謂この道の王道を進んだキャリアの持ち主です。
昨今では、しばしば製菓学校の講師を務めたり、MOFの試験問題作成にも関与しています。
クリエーターとしても素晴らしいですが、近年、彼とお兄様が経営しているアヴェッカー・ブランドが、
フランス政府より優れた技術を持つとして与えられるEPV(無形文化財企業)に認定され、オーガナイザーとしても評価されています。
そういった背景からか、自身のブースを俯瞰し、
その回の自身のテーマに会うようにディスプレイも細かいところまでこだわります。
ムード作りもできる人で、販売員の士気もきちんと見ていますし、
パフォーマンスがよければ、言葉を惜しまず謝意を表し、称賛します。
必然的にブースの中はいつもいい緊張感で満たされています。
日本のショコラ・ファンにとっては、カリスマ性のあるフランス人MOFがそこにいるだけで、
ある意味ブースとしては完成しているわけですが、
彼は、自分の作品のベストなプレゼンテーションを志しているのでしょう。
きっとそれば、MOFとしての矜持のみならず、
「故郷プロヴァンスの良さを伝える役割を担いたい」、という熱い思いが根底にあり、
更に「家族が一番大切」と言い切る彼の、
「では、そのためにはどういう自分でいたいか」、がはっきりしているからだと傍で彼の仕事ぶりを見ていて思います。
その「チーム・アヴェッカー」の一員として、働けたのは本当に幸運でした。
奥様、息子さん、お嬢さんが同伴された時も、
彼らが気持ちよく仕事できるよう、至らないながら、黒子に徹し自分としての最善を尽くしたいと思って臨んできました。
そう思わせてくれることも彼の人徳というか、才能の一つなのでしょうね。
なんだか真面目な一面ばかりにフォーカスしてしまいましたが、愛妻家で、シャイながらも時折ジョークを
ぼそっと呟くチャーミングな面も沢山あるんですよ(笑)
今月はアヴェッカーさんとの出会いや彼の仕事周りのことをお話しさせていただこうと思っています。
末筆になりましたが、本年もどうぞよろしくお願いいたします。
コロナ禍ではありますが、今あるもの、傍にいてくれる人に感謝して
どう報いられる自分でいられるか、なんてことも心の片隅において、
心持を明るく乗り切っていきましょう!
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