12/100 池澤夏樹著「きみが住む星」/ガラス越しの夜のこと

数日前、子も彼も早々に寝てしまい、久しぶりの夜更かし。

これ幸いと食べかけのポテトチップスを食べ、ゲームをして、本を読んで、そしてやりかけの仕事が気になってPCを開いた。といっても集中しきる訳じゃなくて、合間にネットサーフィンしたりとフラフラと、勝手気ままに。

自由な時間は久しぶり。そして思い出したのは、離婚してしばらく、一人暮らしをしていた時のこと。とある日、深夜にどうしても茶碗蒸しが食べたくなって、卵を買いに行って。
自分の行動が少しおかしいように思って、だけど好きな時間に好きなものを食べるために深夜に卵を買う。ああなんて自由、そう思った。

離婚するしないで悩んでいた時、私が気にしていたのは「孤独」だった。1年近く「孤独」と「自由」を天秤にかけ、最終的に「自由」をとった。そう、あの深夜の外出は自由の象徴。手に入れた自由を噛み締めた。

ぼくたちはみんなピカピカの傷一つないガラスを心の窓に嵌めて生まれてくる。それが大人になって、親から独立したり、仕事に就いたり、出会いと別れを重ねたりしているうちに、そのガラスに少しづつ傷がつく。
(中略)
でもね、本当は、傷のあるガラス越しに見た方が世界は美しく見えるんだよ。
池澤夏樹著「君が住む星」

傷ついたガラス越しにみる夜空はとても綺麗だった。あの夜とシンクロした、そんな心持ち。


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