2/100 三島由紀夫著「仮面の告白」/安堵、背徳感と罪悪感
今日から娘を認可外保育園に預けることにした。平日すべて、午前8時から12時までの4時間だ。
今日、仕事をしながら、感じたのは、落ち着いて仕事ができる安堵感もあれど、背徳感と罪悪感。緊急事態宣言下に保育園に預けるこの何ともいえない後ろめたさ。ああ他のおうちは頑張っているのになあと思う。皆が大変な思いをしている中、ズルしているような。そんな心持ち。
この気持ち、どこかで触れたことがあるなあと思ったら、徴兵を逃れて戦地に赴かなくなくてすんだ人の心情だった。三島由紀夫の自伝的小説「仮面の告白」にはこんな一説がある。
「入隊検査で獣のように丸裸にされてうろうろしているうちに、私は何度もくしゃみをした。青二才の軍医が私の気管支のゼイゼイいう音をラッセルとまちがえ、あまつさえこの誤診が私の出たらめの病状報告で確認されたので、血沈がはからされた。風邪の高熱が高い血沈を示した。私は肺浸潤の名で即日帰郷を命ぜられた。
営門をあとにすると私は駆け出した。荒涼とした冬の坂が村のほうへ降りていた。あの飛行機工場でのように、ともかくも『死』ではないもの、何にまれ『死』ではないもののほうへと、私の足が駆けた。」
三島由紀夫著「仮面の告白」
「私」が、駆けている時の心情、それは安堵だけではないはずで。
70年の時を経て、三島由紀夫とシンクロしている心持ち。