8/100 つばた英子•つばたしゅういち著「あしたも、こはるびより」/ゲームの中だけはていねいな暮らし
「あつまれどうぶつの森」というゲームをコツコツやっている。会社でもとても流行っていて、あまり得意じゃないアメリカ本社のメンバーとのちょっとした雑談も、このゲームの話題を出せば苦なくこなせるくらい。このゲーム、何が面白いかというと、本編をクリアさえすれば、自分好みの島を作れるということ、といってもそれにかかる時間は膨大。先日は2時間かけて、ゲーム内の建物敷地に花を植えた。そして花を植えながら、ああこういうこと現実でもしたいんだよなあとぼんやり思った。
「ていねいな暮らし」には昔から憧れがある。「あしたも、こはるびより」は書店でみかけて気に入って、夢中で読んだ本のうちのひとつ。1925年生まれのしゅういちさんと1928年うまれの英子さんは、名古屋近郊の200坪を超える敷地で半自給自足的な暮らしを満喫している。このふたりは「人生フルーツ」という映画にもなっているから、どこかでみかけた人も多いんだと思う。
昨年の秋に撒いた大麦が背丈ほどに伸びてきました。穂先が黄色く染まってきたら、いよいよ刈り入れ時です。「はなこが毎年楽しみにしている麦茶だからね」と英子さん。
つばた英子•つばたしゅういち著「あしたも小春日和」
ただ現実問題、広い庭には雑草が生茂り、虫が出る。農作物も花も、ゲームのようにタネを撒いたら終わりでは到底ない。それを除去する時間も気力も、何より興味がないのは自分がいちばんよく知っている。
なので私は当面はどうぶつの森。そこでつばた夫妻とシンクロして丁寧な暮らしへの思いを慰める、そんな心持ち。