あいめっせーじ。
私はこう思う。
私はこう考える。
“私は”をつけて語ること、
それが『アイメッセージ』。
たとえば『傾聴』ではアイメッセージが大事にされます。
傾聴では話し手が主役になります。
なので、聞き手が話し手の意見や考えを否定したり、さえぎったり、聞き手の話したい内容に誘導してはいけません。もし自分の意見を言いたくなったなら、“私は”とつけて「あくまで私の意見であって、あなたの意見や考えを否定しているのではないですよ」、と伝えるのです。
このアイメッセージ、実は日常であまり使っていません。
え?
そんなことないよ?
と思う方、
おそらくですが、
心の中、頭の中では“私は”をつけていても、
口に出すとはぶいていませんか?
「そのケーキ、おいしいよね!」
こんなふうに。
もしアイメッセージで伝えるとしたら、
「そのケーキ、私はおいしいと思ったよ!」
になります。
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ネットなど文章の世界では、アイメッセージが軽視されているように感じます。おそらく“私は”という表現をたくさん使われると自分のことばかり話しているようで、わずらわしく感じてしまうからでしょう。
だから文章の世界では
「こうである」
「こうあるべきだ」
「こうすべきだ」
このような伝え方をよく目にします。
でも、ほんとうは頭のなかでは
「(わたしは)こうだ」
「(わたしは)こうあるべきだと思っている」
「(わたしは)こうすべきだと考えている」
このようになっているのです。
けれども、さきほどの言葉を受けとった私たちは
「(あなたは)こうである」
「(あなたは)こうあるべきだ」
「(あなたは)こうすべきだ」
と感じてしまうのです。
これを『ユーメッセージ』といいます。
ユーメッセージを使われるといち個人の意見なのに、あたかも共通認識のように聞こえてしまいます。語気がつよい方が説得力が増すからです。そしてユーメッセージを受けた人はなんとなく自分が攻撃されたような気持ちになってしまうのです。
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アイメッセージを使うと、自分の本音や気持ちを相手に伝えることができます。アンガーマネジメントでも大切にされている表現方法のひとつです。
アンガーマネジメントとは怒りをコントロールする方法のことです。
たとえばあなたの会社の部下がミスをしたとします。
あなたは部下に対して「どうしてミスをしたんだ!」とつい怒ってしまいたくなると思います。これは「あなたはどうしてミスをしたんだ!」というユーメッセージです。こう言われた部下はきっと畏縮して、頭が真っ白になってしまうか、あなたを避けるようになるかもしれません。
しかしアイメッセージに変えて「今回ミスをしたそうだね。私はそのことに対してとても驚いているし、残念でならないよ。」と伝えると、部下は「上司を悲しませて悪かった」という気持ちが大きくなって、反省したり考えたりして、前向きに取り組もうと思えるようになるのです。
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さて“私は”と伝えるアイメッセージが人にあたえる効果を理解していただけたでしょうか。
実は、まき子のnoteはアイメッセージを意識して書いた作品ばかりになっています。なぜなら先ほども述べたように、まき子のnoteはまき子が考えたことの集まりであって、あなたの考えを否定したり、あなたを縛りつけようとしたりしませんよ、と伝えたいからです。
アイメッセージを文章化すると、どうしても日記のような主観的で稚拙な、フワフワした表現になってしまいますが、それでも私はアイメッセージで伝えたい。
だって現実世界はユーメッセージばかりなのだから。
せめて文字の世界だけでも、
私はあなたを否定したくない。
私はあなたを傷つけたくない。
あなたにとって、なんとなく居心地のよい文章を書いていきたいです。
みなさんも日常にアイメッセージを取りいれてみてはいかがでしょうか?
きっと、今までとちがう感覚を体験できるはず!
牧 真姫子🍙エッセイスト(@makicome1986)