婚外体験を安心して歩むための4つのポイント
婚外体験は、多くの人にとってタブー視されるテーマです。しかし、時にそれは自分自身と向き合い、夫婦間の絆を再構築するための通過点として大切な役割を果たすことがあります。ここでは、その道を安心して歩むためのポイントをお伝えします。
仕事の関係でいろいろなジャンルの本を読んできた私ですが、その知識も踏まえて、心理的バリアを破るためのヒントをお伝えできればと思います。
1. 絶対に秘密とすることを自分に約束する
婚外体験を選択する際、最初に心に刻むべきは「秘密を守ること」を自分に誓うことです。これは単に行動を隠すための表面的な対策ではなく、深い心理的意義を持つものです。心理学者である河合隼雄氏の書籍『コンプレックス』における主張を紐解くと、この行為がどれほど重要であるかが明らかになります。
秘密を持つことの心理的意義
河合隼雄氏は、人間が「秘密を持つこと」の重要性について以下のように述べています
秘密は個人の内面的な独立性を支えるものであり、他者との関係においてバランスを保つために欠かせない要素である。
秘密を持つことで、人は他者に依存しすぎることなく、自己と向き合うことができる。
これを婚外体験に当てはめると、秘密を守ることは次のような心理的役割を果たします。
1. 自己の尊厳を守る
婚外体験という選択は、多くの場合、社会的なタブーや個人的な葛藤を伴います。その中で秘密を守ることは、他者からの批判や干渉から自分自身を守る行為です。秘密を保持することで、自分の行動に対する責任を明確にし、自己の尊厳を保つことができます。
2. 安心感を得る
秘密を守ることで、他者からの余計な干渉や誤解を避け、体験そのものに集中することができます。河合氏は「他者との適切な距離感」を保つことが心の安定に不可欠であると述べており、この距離感を保つために秘密は重要な役割を果たします。
3. 内面的な成長を促す
秘密は、内的な対話を深める契機となります。河合氏の主張によれば、秘密を抱えることは自己との対話を生むきっかけとなり、自己理解を深める助けになります。婚外体験を秘密にすることで、体験そのものが自己成長のための「内的な旅」として機能します。
家族や他者への配慮
河合氏は、「誠実さ」とはすべてをオープンにすることではなく、関係性を守るための適切な配慮を含むと指摘しています。婚外体験における秘密保持もまた、家族やパートナーへの誠実さを守るための選択と言えるでしょう。
秘密を守ることで、家族や夫婦関係が不必要な混乱に巻き込まれることを防ぎ、自分自身と向き合う余裕を持つことができます。これは、夫婦関係や家族の平和を維持するうえで不可欠な要素です。
2. 夫婦関係の再構築を目的とする
婚外体験は、単なる快楽の追求ではなく、夫婦間の関係を再構築し、絆を深めるための通過点と考えることが重要です。この考え方は、心理学的な知見に基づいても妥当性があることが示されています。
婚外体験と夫婦関係のダイナミクス
心理学の分野では、夫婦関係が停滞する背景にはしばしば「新鮮さの喪失」や「個人の成長の停滞」があると指摘されています。米国の心理学者エスター・ペレル(Esther Perel)は、著書『愛が生まれ直すとき』(Mating in Captivity)で次のように述べています。
新しい体験は個人の自己理解を深める:婚外体験を通じて新しい視点を得ることで、個人は自分が本当に何を求めているかを理解する機会を得る。
夫婦間の変化を促進:婚外体験による自己成長が、夫婦間の対話や親密さを取り戻すきっかけとなることがある。
この視点から、婚外体験は必ずしも破壊的ではなく、適切に扱えば、夫婦関係の再構築をサポートする手段となり得るのです。
心理学的な裏付け
「自己決定理論(Self-Determination Theory)」
自己決定理論は、個人が成長し幸福を感じるために「自律性」「有能感」「関係性」という3つの基本的な心理的欲求を満たす必要があるとしています。婚外体験は、以下の形でこれらの欲求を刺激します:
自律性:新しい選択を通じて、自分の意志で行動しているという感覚を取り戻せる。
有能感:新しい経験や関係性を通じて、自分が他者に受け入れられるという感覚を強化できる。
関係性:新しい視点から既存の夫婦関係を見直すことで、より深い絆を構築するきっかけになる。
これらの欲求が満たされることで、個人は自己理解を深め、夫婦関係にも前向きに向き合えるようになります。
3. 相手との適切な距離を保つ
婚外体験の相手との関係では、過度に依存することなく、適切な距離を保つことが重要です。これは、双方が健全で対等な関係を築くための基本です。この主張を裏付ける心理学的知見を以下に紹介します。
「依存と自立のバランス(Attachment Theory)」
ボウルビィ(John Bowlby)のアタッチメント理論
アタッチメント理論は、幼少期の愛着が成人後の対人関係に与える影響を解明した理論です。
安全型愛着:相手に対して安心感を持ちながらも、自立した関係を築ける。
不安型愛着:相手に過度に依存し、関係が崩れることを恐れる。
回避型愛着:相手との距離を取りすぎ、親密さを避ける。
婚外体験との関連
婚外体験では、不安型や回避型の傾向が強いと、過度な依存や孤立を招く可能性があります。
適切な距離を保つためには、安全型のバランスを意識し、互いに独立性を保ちながら信頼を構築することが大切です。
これは次の「それぞれを大切にできる相手を見極める」にもつながりますが、自分と相手の傾向を見極めることが重要となります。ここが婚外体験の難しいところになりますが、そのためのサポートを私ができればと思っています。
4. それぞれを大切にできる相手を見極める
婚外体験における相手選びは、慎重であるべきです。相手が自分を尊重し、なおかつ自身を大切にできる人であることが、対等で安心感のある関係を築く鍵となります。この視点を、ロバート・キーガンの「成人発達理論(Adult Development Theory)」と関連づけて解説します。
成人発達理論とは?
成人発達理論は、人が生涯を通じて心理的に成長し、複雑な課題に適応する能力を発展させる過程を説明する理論です。
ロバート・キーガン(Robert Kegan)の自己発達理論では、成人の心理的成長を複数の段階に分けて説明しています。
各段階は、自己理解や他者との関係性における視点の広がりを特徴とします。
この理論を婚外体験に応用することで、適切な相手選びの基準が明確になります。
成人発達理論に基づく相手選びのポイント
1. 相手の「自己主導段階(Self-Authoring Stage)」の確認
キーガンの理論では、「自己主導段階」に達した人は、自分の価値観に基づいて行動し、他者を尊重しながら自分を律する能力を持っています。
特徴:
自分の選択に責任を持ち、相手に過剰な期待をしない。
他者の立場を尊重し、対等な関係を築ける。
婚外体験での応用:
相手が、自分自身の行動に責任を持ち、家庭や他の関係を尊重しているかを確認する。
例えば、感情的に不安定で他者に依存しがちな人ではなく、自立性がある人を選ぶ。
2. 相手の「相互的視点(Interpersonal Mutuality)」の評価
成人発達理論では、高度な発達段階にある人ほど、他者との関係性を相互的に考え、尊重する姿勢を持ちます。
特徴:
自分の欲望だけでなく、相手の気持ちや状況を理解しようとする。
対等でオープンなコミュニケーションを重視する。
婚外体験での応用:
相手が「自分の都合」だけを優先するのではなく、あなたの立場や感情を考慮するかどうかを観察する。
思いやりのある会話や態度を持つ人を選ぶ。
3. 成長志向(Growth-Oriented Mindset)の確認
成人発達理論では、自己成長を志向する人は、経験から学び、それを自己の発展につなげる力を持つとされています。
特徴:
挑戦的な状況を学びの機会と捉える。
自己理解を深め、健全な関係性を追求する。
婚外体験での応用:
相手が、自分自身の成長や内省を重視する人かどうかを見極める。
例えば、困難な状況にも冷静に対応し、感情的に揺さぶられにくい相手が適しています。
実際に相手を見極めるための方法
質問を通じて価値観を探る
「あなたが大切にしているものは何ですか?」
「家庭や仕事において、どのような優先順位を持っていますか?」
これらの質問を通じて、相手の価値観や責任感を見極めます。
観察による評価
相手の言動が一貫しているかを観察します。たとえば、約束を守る態度や他者への対応を見ることで、相手の信頼性を判断できます。
小さなテストを試す
小さな頼み事をして、相手がどのように対応するかを見る。
相手の反応が誠実で思いやりのあるものであれば、信頼できる関係を築ける可能性が高いです。
実践のポイント
成人発達理論によれば、婚外体験の相手選びには「自己主導性」「相互的視点」「成長志向」を持つ人を選ぶことが重要です。これらの特性を持つ相手であれば、健全で安心感のある関係を築くことができ、自分自身の成長や夫婦関係の再構築に役立つ体験となるでしょう。
とはいえ、なかなかそのような人に出会うのは難しいことも事実ですね。私には活動を通じて信頼できる方がいます。紹介に関するご相談にも乗りますので、ぜひお声がけください。
最後に
婚外体験は、慎重さと信念を持って進むことで、自己理解や関係性の再構築に役立つものとなります。一方で、社会的なハードルや自分自身の葛藤とも向き合う必要があります。その道を歩む際には、何よりも自分を大切にし、同時に周囲を尊重する姿勢を忘れないことが大切です。
あなたが選ぶ道が、より豊かな人生の一歩となりますように。