【質的研究勉強会】『これからの質的研究法』を読む。
質的研究を学び始めた私であるが、質的研究って何?を学んだ本は、他にもある。
秋田喜代美、藤江康彦(2019)『これからの質的研究法 15の事例にみる学校教育実践研究』.弘文堂
質的研究勉強会で、みんなで読み進めた本である。とても読みやすかった。
質的研究勉強会とはいえ、メンバーがすべて小学校と高校の現職であったため、学校における実践研究が取り上げられていて大変興味深かった。
とはいえ、英語教育サブプログラムのメンバーで構成された勉強会でありながら、それらの実践はほとんどが英語教育ではないものであった。それでも先生がこの本を読もうと提案してくださったのは「質的研究」ということにフォーカスして学ぶべきと考えられてのことだと思う。それくらい、日本には外国語教育に関する質的研究の文献が(特に初級者が読めるものは)少ないのかもしれない。
学校教育実践研究のための質的研究法
第1章は、このようなタイトルである。はじめに質的研究の特徴が次の2点で語られている。
この文章を読んだ時、なるほど!と思った。質的研究は、「いろいろな不安定な場面で起こることを見とって、それをいろいろな場面で使える理論にしていく」とわたしはこのページにメモしている。
次に2つ目として、
ここが、量的研究とは決定的に違うと感じた。
量的研究では統計に基づくため、統計の結果が研究者によって異なることはない。(そこからの解釈は異なったとしても)
質的研究では、分析をする人がもはや分析ツールのひとつなので、研究者と研究対象の独立性は保たれない。
でも…これは当たり前ではないか、とわたしは思う。同じテキストを使っても、授業をする人によって異なる授業になるように。または、同じ授業者が担当しても、クラスによって異なる授業になるように。
その不安定で複雑なものを描き出す、ということに、とても心を動かされる。数値では表せない何かを明らかにしようとするところに惹かれているのだと私は思う。
というわけで、学校教育における実践研究において、数値では測れない何かにモヤモヤを感じる方にはぜひおすすめしたい一冊である。