開放のソで見直すクラリネット奏法論⑥ 〜舌骨編〜
今までは呼吸や重心の取り方を見つめることで、演奏する時の問題点を見つめ直してきました。
ではもう一度開放のソを鳴らしてみましょう。
音色が硬く感じたり、たくさん吹いているはずなのに思ったよりも音量が出なく、ニュアンスがつけられないと感じた方。それは喉の締まりが問題かもしれません。
開放のソというのは、全ての指を離して吹く音です。そのため管の穴から音が抜けてしまうので、演奏者の身体の状態がもろに出やすい音なんですね。
以前レッスンをしていた時に、喉が締まっている方からこんな相談を受けました。
「よく、喉に力が入りすぎだからもっと力を抜きなさい!と言われるのだけれど、先生も喉に力が入っている気がする。」
その時ハッとしました。鏡で見ると、喉に力が入っている状態と舌骨を下ろしている状態の差が分かりにくいのです。
写真を見比べてみてください。
なるほど。はた目からはそんなに大きな違いはありませんね。生徒さんが勘違いするのもよく分かります。
そもそも舌骨ってなんなんでしょうか!!?
分かりやすい資料があるので載せてみます。赤く丸で囲んでいるところが舌骨です。
舌骨とは舌の根本の筋肉がくっついている骨のことなんですが、舌の付け根って喉元までのびているんですね!!
舌骨の位置がなんとなく分かったところで、喉が締まっている状態と舌骨を下げる状態にはどんな違いがあるのか?どうして舌骨を下げることが楽器の演奏に必要なのか?を書いていきたいと思います。
まず全く喉に圧力が掛からないように吹いてみてください。
どうですか?
力は入っていなかったけど、全然思うように吹けなかったのではないでしょうか?圧力のかかった息が入らなく、音がしぼんですごく貧相な音になってしまいませんでしたか?
息をクラリネットに吹き込むと、普通は口先に圧力を感じますが、実は肺からクラリネットに至る「息の通り道」全てに同じ圧力が掛かっています。その「息の通り道」の中で一番柔らかい部位が喉なんです。だから、クラリネットに息を吹き込むとき、喉が圧力に負けないように、硬くしてあげる必要があるんですが、このとき喉を緊張させると、喉が締まってしまう問題が起こるんです。では、どうやって喉を緊張させないで圧力を受けるのかと言うと、そうです!舌骨を下げればいいんです。
先程正面からの写真では違いがはっきり分かりませんでしたが、横の写真にすると分かりやすいと思います。
舌骨とは文字通り舌の付け根がくっついている骨ですから、舌骨を下げることで、舌の根本の筋肉が硬くなり、クラリネットを吹くときの息の圧力に耐えられるようになります。そうすると喉が圧力に押されて喉が締めあがってしまうことがなくなり、息がしっかり入るようになるんだと、私は解釈しています。
舌骨を下すことが大事なのは分かって頂けたと思います。でもなかなか自分の舌骨の場所を知っている方は少ないと思います。
まずは自分の舌骨を探してみましょう👀👀
『カ』の発音を元に探していきましょう。写真を見たらわかりますが、カエルの様にぷくっと喉が広がります。
そういえば私も以前先生から『喉を広げなさい』とか『口の中を❝オ❞の形に開きなさい』と注意をされたことがありました。あの時の注意は舌骨を下げて息の圧力に負けないようにするためだったのかなと思っています。
さらに舌骨を下げると良いことがあります。舌先が柔らかくなるので、柔らかなタンギングができるようになるんです。
だいたい音色が硬いと注意を受けている人はタンギングに問題を抱えている方が多いように感じます。
とは言っても、いきなり舌骨を下げるのは少し難しかったりするので、次回は舌骨を下げる感覚を養うトレーニングをご紹介したいと思います。
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