「WE ARE X」
「心の痛みは消えない」
この言葉が刺さった。
そうなんだよね。
それでいいんだって思えた。おかしなことじゃないんだなって。
YOSHIKIも、それでも生きてる。それでも生きてる人が、意外とたくさんいるんだろうなって思った。
だからX JAPANの曲はあんなに支持されるんだろうな。
心に傷を負った人たちに寄り添ってくれる、みたいな、そんな感じ。
私はX JAPANの全盛期は知らない。
たぶん、幼稚園とか、小学校低学年だったんじゃないかな?
音楽番組に出てたのは目にしたことがあったような気がする。でも、私の母はいわゆる「普通」しか認めない人だったから、「何これ変なの」とか「うるさいねぇ」とか言って、チャンネルを変えられてた気がする。
子供にとって母親の言うことって絶対だから、私はいわゆる「ビジュアル系」とか「ロック」とかを悪いものだと思ってた。
幼児の頃からその意識を刷り込まれてたから、小学生になる頃にはもう無意識に、見ちゃいけない、触れちゃいけないと思ってたかな。というか自分とは関係のないもの、みたいな感じで、まったく興味ゼロ状態。
小学校高学年になる頃には、LUNA SEAとかGLAYとかL'Arc〜en〜Cielとかが流行ってて、周りの子達も熱狂してたけど、私は興味がなかった。
なんか、もうほんと刷り込みで、聴いてみよっかなーとかいう選択肢もなかった。
私には縁がないもの、私とは関係のないもの、という感覚。
ポップスは聴いてたけど、やっぱりビジュアル系とかロックとかメタルとか、そういうところに属するものには、足を踏み入れなかった。
クラシックも聴いてた。
両親ともクラシック好きで、私も2歳からピアノ習ってたから、クラシックは常に聴いてたかな。
でもね、なんかしっくりきてなかったんですよね。
音楽は好きなんだけど、ポップスとクラシックには、どうもピンときてなかった。
特定のアーティストにのめり込む同級生たちはたくさんいたけど、それも私には理解できなかったし。
なんでそこまで心酔できるのか。
私が小学生か中学生の頃、HIDEが亡くなった。
私はX JAPANをほとんど知らなかったから、なんか有名な人が死んだんだなあくらいの感覚で、ニュースでファンたちが嘆き悲しむ様を特になんの感慨もなく見てた。後追い自殺っていう言葉もここで覚えた。
アーティストの後を追って死ぬとかマジで意味わからん、てその時は思った。死なないにしても、あれだけ大騒ぎする意味がまったくわからん、て思ってた。
だけど今はわかる。
私は大人になってから色んな音楽を聴き始めた。
子供の頃は、親が否定するものには手を出しちゃダメな気がしていたけど、独立した後は自由だったから。
職場の人に勧められたのがきっかけで、初めてビジュアル系メタルバンドの曲を聴いた。
そこで完全に「これだ!!」って思ったんだよね。
音楽は好きなんだけど、なんか、ピンとこない…そこまでハマる意味がわからない…と思っていたのが、これだったのか!って目の前が開けたような心境になった。
そこから今まで手を出してなかったジャンルをどんどん聴くようになって、だんだん音楽にハマるという意味がわかるようになった。
ちょうどその頃X JAPANが再結成して、なんとなく、有名だし聴いてみよっか、という感じで聴いてみた。
そこで、もう完全にハマった。
曲も歌詞も、すごく心に刺さって、なんだか救われた。
私はそれまで、音楽とかアーティストに救われたって意味が本当に理解できなかった。
ナニイッテルノコノヒトタチ?って感じだったんだけど、それが本当に理解できた。
音楽に救われることは、ある。
この映画の中にも、「X がいるから生きてる」「Xに救われた」というファンが出てくる。
きっと、昔の私なら完全に理解できなかった。でも今はわかる。
私が後10年早く生まれてたら、HIDEの後を追ってた可能性すらある。
この映画を観て、そんな曲を作れるのは、作ってるYOSHIKI自身が傷を負ってるからなのかなって思った。
傷を負った人は共感して、自分だけじゃないって思うと救われる。自分の気持ちを代弁してくれてるような気になる。
私はこの映画2回観に行ったんだけど、DVDスペシャルエディションも速攻予約しました。
最近気分が落ちてるのでまた観てみた。
これは最早大河ドラマのよう…
現実にあった話だからすごいよな…
平凡とは真逆の、なんとドラマティックな人生。
傷を負っても人生は続くんだよね。
傷は背負ったままで、生きていかなきゃいけない。
明日も、明後日も、ずっと。
理解されなくても、傷を抉られても、傷なんてないふりして生きなきゃいけない。
あと私が特に言いたいのは、HEATHめっちゃカッコいい。
この映画にはほんのちょっとしか出てこないんですけどね。
バリカッコいい。なんなのあれ。二次元みたい。
以上です。