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マラソンを始めた理由

 私はとてもノロいくせに42.195キロを走っている。マラソン大会に出る、と言うと皆に凄いと言われるが、早くても5時間45分、遅いと7時間を超えている。7時間超えとか、歩いているのとほぼ同じなので、どこが凄いのかと聞き返したくなるが、褒め言葉は素直に受け取るようにしている。

 マラソンに行き着くまでは、ユルくランニングをしていた。ランニングを始めたキッカケは35歳の時に体力維持の必要性を感じたから。当時はコンサルティングファームで働いていたが超ブラックで、100メートルダッシュを繰り返しながらマラソン完走する、みたいな働き方ばかりしていた。忙しさはプロジェクトによるのだけど、私は仕事が出来ないのか、私の運が悪いのか、毎回忙しいプロジェクトばかり引き当てていた。(社内で「あいつ根性あるからちょっとくらい大変でも大丈夫」みたいな評判はあった)35歳あたりでこの忙しさに対応するには体力が要るなと気づき、手軽さもあってランニングを始めた。

 ランニングコースは、当時住んでいた恵比寿から目黒川沿いに中目黒までいくか五反田まで行って、恵比寿に引き返す。時には麻布通りを古川橋や一ノ橋通って麻布十番〜六本木ヒルズを回るような10キロくらいのコースを走っていた。音楽かけながら走ると、東京で頑張ってる意識高い系の自分(だいぶイタイ)を存分に感じられて気分が良かった。郊外からデートやら遊びやらできている人たちを横目に、地元民を気取ってランニングウェアで六本木ヒルズや恵比寿のアトレをウロつくのも優越感に浸れる。こう書いてみると、我ながら嫌なやつだな。トレーニングする意識もなく、ましてやダイエット目的ではないので、ランニング途中で気になるお店があれば、脂肪が燃焼する時間帯であろうが立ち止まって見てまわり、たい焼きとかラーメン屋とかで買い食いするのも楽しかった。
 そんなこんなで、可愛いウェアを揃え、時間を見つけてはランニングした。運動嫌いの割に続いたのは、途中で道草することに楽しみを見出していたからだろう。なので、ランニングは趣味というか習慣にはなっていたが、向上心を持って取り組んでいなかったので、早くもないし、体力がついたかさえ謎だった。

 話は全く変わるが、私は当時ワインにはまっていた。基本的に物事にはまると深く追求するたちで、半年勉強してワインエキスパート資格(ソムリエ試験と同じ問題で、飲食店で働いていない人向け資格)を取得した。せっかく勉強するなら、独学よりスクールに通った方が仲間もできるし楽しかろう、とスクールに通ったらワインオタクを極めたような人たちがたくさんいた。自分で畑を耕してブドウつくってワインにする人、会社員の傍ら山梨大学の醸造学部に通う人。そんな中で、フランスのメドックマラソンに毎年出場している人がいた。
 メドックマラソンとは、フランスのワイン産地のメドックで開催される。20か所以上の給水所でワインが支給され、ランナーはみな仮装して走るお祭りみたいなマラソン大会だ。昔、世界ふしぎ発見か何かで高橋尚子選手が走っているのを見て、ワインラバーなら走らなければと思っていたのだ。その人からメドックマラソン楽しいよって話を聞いて、出場を決めた。

 2019年9月のメドックマラソンに2019年3月にエントリーした。普段ランニングしているし、半年もあればマラソン完走できるようになるだろうと見越していたが、30万円くらい使ってメドックマラソン参加して途中棄権とか目も当てられないので、マラソン完走に向けてスポーツジムに加入。代わりに全くうまくならないゴルフ引退を決め、ゴルフスクールは退会した。
 ジムでその辺のトレーナーにマラソン完走したいと伝えたら、筋トレをすべきだとアドバイスされ、当時走るとすぐに膝が痛くなった私は真に受けて筋トレをした。筋トレにはプライベートトレーナーを週に1回つけて取り組んだが、マラソンにはあまり効果がなかったのでは、と今になって思う。半年間スポーツジムで筋トレとランニングマシンにいそしんだ。時間があるときはいつものランニングコースをちょっとだけまじめに走った。
 迎えたメドックマラソン、すべての給水所で飲んだくれたものの、7時間でゴールできた。初めてのマラソン大会がフランスとか、我ながらおしゃんてぃーだな。この時の話はまたどこかでnoteにまとめる予定。

 コロナでしばらく海外渡航ができなかったが、コロナあけの2023年9月にもメドックマラソンにエントリーして完走した。しかしながら7時間26分かかった。脱落者回収カーに追い立てられるように、何とかかんとかゴールできたレベル。コロナ中もstay homeとか言われてやることがないから走り回っていたのに、明らかに体力が落ちている。歳か。。。これでは、次のメドックマラソンは途中棄権かもしれない。

 2024年の正月は実家でゴロゴロしながら過ごしていて、今年一年を充実させるには何をやろうか考えたときに、将来というか老後のためにまじめにマラソンをやってみようと思い立った。思い立ったら何事もすぐやってみるたちなので、その日のうちに佐渡トキマラソンにエントリーしモチベーションを高めに行く。
 途中棄権するために渡仏するとか無駄だから、きちんと走れるようになるまでメドックマラソンはお預け。まぁ、佐渡まで行って途中棄権するのもだいぶ無駄だけどね。佐渡のコストはフランスのコストの2割くらいだからお財布的には許容範囲なものの、途中棄権したら悔しい絶妙な大会ロケーションにした。これでモチベーションも上がるってものよ。

 こうして2024年1月に始まった私のまじめモードのマラソン。ユルランしていたからこそ、2024年はそこまでキツく感じずこれまでよりちょっと真面目にトレーニングできた。2025年はサブ5目指してトレーニングメニュー作ったので、今後は大会とかトレーニングとかをちょいちょいnoteに書いて残していきたい。

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