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総合的な学習の時間における資質・能力の育成~知・技の指導~

子供は自分を取り巻く人、もの、ことについて、様々な興味・関心を抱いている。教師はその中から教育的に見て価値のあるものを捉え、それを『適切』に生かして学習活動を組織する。

「知識及び技能」に関する資質・能力の育成

 探究的な学習の過程において、課題の解決に必要な知識及び技能を身に付け課題に関わる概念を形成し、探究的な学習のよさを理解するようにする

 そのため、各学校で、探究課題の解決を通して育成を目指す資質・能力について明らかにしていく。そして、探究的な学習の過程において、探究課題についての事実的知識や技能が獲得される。そのため、「知識及び技能」は、各学校が設定する内容に応じて異なる。各学校においては、目標や内容を設定するにあたり、概念的な知識や探究的な学習の過程に必要な技能の例を明示することが大切である。

事例「概念的な知識の形成」

単元の目標
 伝統工芸の製作体験や伝統工芸に携わる人との関わりを通して、伝統を守りながらも新しい挑戦をし続ける匠の考え方や姿勢に気付き、収集した情報から伝統工芸の魅力について多面的に捉え、自分の町の伝統工芸に親しみと愛着をもちながら生活していくことができるようにする。

育成を目指す具体的な資質・能力の「知識及び技能」での概念的な知識
 伝統工芸には高い技術や美しさ、携わる人々の今も昔も大切にしている熱い思いや考えが詰まっていることが分かり、これからも伝統工芸を守り続けようとする誇りや願いに気付き、守り続けていくために必要なことを理解する。

 概念的な知識の形成のためには、事実的知識を獲得しながらも、何度も繰り返し活用・発揮していくプロセスを位置づけることが大事である。子供は製作体験や匠の話から得る情報収集だけでなく、他教科等で習得した知識や経験を踏まえながら、持続可能な伝統工芸について話し合う。
 このとき、社会的事象の見方・考え方を働かせ、「位置や空間的な広がり」「時期や時間の経緯」や「事象や人々との相互関係」から問いを立て、探究的な学習として単元が展開するイメージを教師は思い描くことが必須である。

評価規準「知識・技能」における概念的な知識

 伝統工芸を守り続けていくために何が必要かを理解している。

 単元の評価規準を作成する際には、単元で行う学習活動やどのような資質・能力を重視するかによって具体的に示すことが求められている。本事例における概念的な知識は、「伝統を守りながらも新しい挑戦をし続ける匠の考え方や姿勢に気付く」であることを踏まえ作成。また、評価の位置づけについては、全ての子供を見取りやすい場面を選定することが大切である。本事例では、全単元の後半に設定し、子供の発言や作文などで評価することにした。

各学校で設定した探究課題を解決しようとする中で、子供は様々な知識や技能を結果的に習得していく。単元においては、それらが統合され概念的理解にまで達することを目指すことが求められている。そのために、単元を構成する段階で、どのような概念的知識の形成を期待するかということをイメージしていくことが必要である。
 

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