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さもありなん

君の唇から零れる言葉
それを聞きながら
僕は言う
君の口元は、さくらんぼみたいだって

そうだろう、そうだろとも
と、君の唇が動いて言葉を放つ
さもありなんと

なに?君はよく知ってるのか
物事を知った気で
さもありなん、などと言うか

白い鼻をツンと上に向け
唇を尖らせ
斜め上から見下ろして
でも伏せた睫毛の長いこと
じっくり観察していたら
長い睫毛が微かに震えて
目元が少し赤く染まった

君の唇から零れる言葉
いつも何事かを、ごにょごにょと
僕に伝えて来る

それを聞きながら
僕は思う
君の口元は、さくらんぼみたいだって

そうだよな、そうなんだよな
と、僕は納得する
いつも
さくらんぼみたいだって