【MARVEL SNAP】カードの「コスト」と「パワー」について考えてみた(第3回)
こんにちは、Makaru.Gです。
色々な事情により更新が滞っていましたが、このたび、ようやく「前回の続き」の記事をなんとか書き上げることができました。大変お待たせ致しました。
※今回の記事の主役は、コレクションレベル500以降で手に入るカードです。今回も難しい説明は極力省くつもりですが、「このゲームをある程度継続してプレーしている人向けの内容」が含まれる事を、あらかじめご容赦ください。
▶︎前回までの内容
マーベルスナップというカードゲームには「カードを手札からプレイする際、規定のエネルギーを支払う」というルールがあります。そこには当然ながら「エネルギーコストの高いカードほど強い」という暗黙の了解が存在するわけですが、この記事ではあえてカードの効果よりもパワーに注目し、特別な効果を持たないカードをピックアップして「それぞれのコストにおける標準的なパワー」と定めました。
そして、パワーの値をコストの値で割り算することで、既存TCGの「マナレシオ」に相当する「エネルギーレシオ」を算出した結果、下記の傾向が見えてきました。
・コスト1とコスト6はエネルギー効率面で同値である
・コスト1には「相手の除去カード1枚で全滅する」弱点がある
・コスト3はエネルギー効率が最も低い
・コスト3はコスト軽減効果の恩恵を最も受けやすい
……しかし、この検証には、ひとつの問題点がありました。それは「エネルギーレシオを算出できないコスト帯」があったことです。今回は、その「コスト0」という数値について考えていこうと思います。
※なお、2023年4月現在、デッキに編成可能なコスト0のカードは《ワスプ》と《イエロージャケット》の2種類のみです。
▶︎「エネルギー不要」の時点で既に強い
コスト0のカードが持つ最大の長所は、コストが0であることです。
こう書くと「ふざけないでください」と怒られそうですが、ここで本稿の冒頭に書き記した本作のルールを思い出してください。「カードをプレイする時はエネルギーを支払う」という前提を、コスト0のカードは無視しています。これは間違いなく「長所」です。
また、2023年3月に実施されたゲームバランス調整において、「コスト1のカードのコストを別のカードの効果で軽減し、コスト0でプレイする」戦術と、それを最大限に活用できる一部のデッキタイプが大きく弱体化されました。この調整の方向性は、もともとコストが0である《ワスプ》と《イエロージャケット》の本来の価値を、相対的に高める結果となりました。
▶︎隙のないコンビネーション戦術
多くの場合、コスト0のカードは「相棒」となる別のカードと組み合わせて使われます。ここでは、最も有名な組み合わせをひとつ見てみましょう。
《ロックジョー》
・コスト3/パワー2
・自分がこのロケーションにカードをプレイしたとき、そのカードと自分のデッキ内のカード1枚を入れ換える。
《ワスプ》
・コスト0/パワー1
(固有の効果を持たないカードです)
この2枚は、同じロケーションに《ロックジョー》→《ワスプ》の順序でプレイすると、自分のデッキ内にある別のカードが《ワスプ》の代わりにロケーションへ置かれます。本来なら大量のエネルギーを支払って手札からプレイするはずの強いカードを、手札ではなくデッキから、コストを支払わずロケーションに出せるコンビネーション戦術です。
相性の良い2枚のカードを特定の順序でプレイし、爆発的なアドバンテージを得る。いわゆるコンビネーション戦術の多くには、「1枚目のカードをプレイ後、2枚目のカードをプレイするまで」の間に大きな隙が発生します。例えば今回の場合、《ロックジョー》をプレイ後、同じロケーションに別のカードを続けてプレイするまでが「大きな隙」です。しかし、コスト0のカードが手札にある状況なら、それは同じターン内で《ロックジョー》の直後にプレイできるため隙が消え、対戦相手に妨害されづらくなります。強いですね。
▶︎純粋にパワーのみを考慮した場合
前述したように、コストが0であるカードの強さの本質はパワーとは違うところに存在するのですが、今回の記事のタイトルは「コストとパワーについて考えてみた」なので、純粋なパワー比較もやってみます。
すでに何度か説明していますが、コストが0であるという事は「同一ターン内に、他のカードと一緒にプレイできる」事を意味します。そこで、まずは他のコスト帯にも存在する効果なしカードと、コスト0の効果なしカードである《ワスプ》を、一緒にプレイした場合の合計パワーを確認します。
①《ワスプ》+《ミスティ・ナイト》→合計3
②《ワスプ》+《ショッカー》 →合計4
③《ワスプ》+《サイクロップス》 →合計5
④《ワスプ》+《ザ・シング》 →合計7
⑤《ワスプ》+《アボミネーション》→合計10
⑥《ワスプ》+《ハルク》 →合計13
次に、上記①〜⑥のすべてについて、合計パワーを合計コストで割り算した「エネルギー・レシオ」を算出してみます。
① (1+2)÷1=「3.0」
② (1+3)÷2=「2.0」
③ (1+4)÷3=「1.66…」
④ (1+6)÷4=「1.75」
⑤ (1+9)÷5=「2.0」
⑥ (1+12)÷6=「2.166…」
ここで注目すべきは①です。カード固有の効果を全く考慮しない場合、コスト1のカードと一緒にプレイするのが、費用対効果の最も高い組み合わせという事になります。複数のカードによるコンビネーション戦術が失敗しそうな時の予備計画として、コスト1のカードを多めに積むのはアリかもしれません。
▶︎ネガティブ(反転)という名の暴力
最後に、このゲームでコストの説明をする際、避けては通れない効果についても簡単に触れておきましょう。具体的には「パワーとコストの数値を反転する」効果が該当します。カードでは《ミスター・ネガティブ》が公開者の山札すべてを対象に、ロケーションでは【ザ・ピーク】が両プレイヤーの手札すべてを対象に、コストとパワーの数字を入れ替えてしまうのです(ただし入れ替え後のコストは、0より小さくなる場合は0に、6より大きくなる場合は6に、自動的に修正されます)。
この効果により最も恩恵を受けるのはパワーが0のカード、逆に最も損失を被るのはコストが0のカードです。特に、序盤戦で《ワスプ》や《イエロージャケット》を手札に抱えるプレイヤーにとって、【ザ・ピーク】が公開される事態は大事故ともいえます。特に《イエロージャケット》は公開時効果で自分側ロケーションのパワーを下げてしまうため、ほぼ間違いなく手札で腐ります。これの数値が反転したら、割り切って撤退するのも良いかもしれません。
▶︎まとめ。
普通に軽量カードとして運用するならば「多数の軽量カードと一緒に展開する」のが最大効率。またエネルギー不要でプレイできるため「特定のカードと組み合わせたコンビネーション戦術」の相方としても優秀。そして、何といってもエネルギー不要であることが、コストが0であるカードの魅力と言えます。この魅力と強さは、パワーとコストの数値を計算するだけでは決して測れないものです。その意味でも、このコスト帯のエネルギーレシオは「計算不能」と言えるのかもしれません。