寒波の日に温もりを
全国的な寒波が訪れ記録的なクリスマスになる予感。年々寒く感じる冬はやはり苦手だ。玄関を開けると肌を切るような冷気が通り抜けてゆく。身震いしながらパリパリと音を立てる地面をそろりと歩いた。
実家に着くと見慣れた景色が白く着飾っていて、どこか気品を感じた。しんしんと降り続く雪を、雲の切れ間から差し込む光がキラキラと輝かせている。「おかえり」と言われているようでホッとする。
実家に帰ると住み慣れた場所で肩の力が自然と抜けてゆく。見慣れた物もあれば、新しく増えた物、場所が変わった物など時間の経過を感じさせられる。
冬の時期は日照時間が短く、雪とも慣れば家の中に届く光は少ない。うっすら照らす光はどこか凛として芯の強さを感じさせられた。
ワイルドにコーヒーを楽しむ祖母の変わらぬ姿に安堵する。いつ何があってもおかしく無い歳で、もうすぐ90歳になると言う。幾度となく困難を乗り越えてきた眼と手からは大きな力が漲っているように見える。
そんな祖母がくつろぐ台所は彩りに満ちていた。いつもと少しだけ視点を変えただけなのに、こんなにも世界が違って見える。よく聞く言葉に「視野を広く」がある。物事を多角的に観察することで見えなかった新しいものに気づけるというもの。まさにそれを身をもって体感した。写真ではレンズを変えることで手っ取り早く視点を変えられるのだから面白い世界だ。
写真を通して自身の感覚や感情と向き合うことができる。そう感じた寒波の日。捉え方一つで良くも悪くもできる。いつもの日常があるというのは、幸せなことであり感謝する必要がある。一期一会と思い全ての人と接すること。最近そんなことを考えながら暮らしている。そうするとどこか温かい気持ちになる自分に気づいた。写真を通して自分と対話し人としてのあり方を考えさせられる。自分を再確認するツールでもある写真は人生を通して寄り添っていきたい。