PENTX67 SMC 105mm F2.4
PENTAX67は中判フィルムカメラとして人気のカメラ。ハッセルブラッドと肩を並べるほどで中判フィルムと言えば、真っ先にこのカメラの名前が挙がるほど有名。さて、そんな人気のカメラだが写真を撮るためにはレンズが必要になる。そうなったときの選択肢として90mmF2.8と105mmF2.4の2本が思い浮かぶ。それぞれのレンズはフルサイズ換算で44mmと51mmで、標準レンズとして使いやすい画角。
今回はそんなレンズのひとつ、SMC Takumar 6×7 105mm F2.4について。
このれんずを中判フィルムで使うと画角は50mmであるため、とても使いやすく慣れ親しんだ視界に安堵する人は多いだろう。しかし、背景の圧縮やF値のピント面は105mmのレンズに近い。もちろんボケ感もなだらかでとろりと美しい。このボケ感が生み出す立体感の虜になる人が多く未だに人々を惹きつけていると感じる。
ズッシリ重く感じるが約590gは中判レンズで考えると軽い部類になる。マニュアルレンズであるため、ピントリングは少し重いトルク感でじっくりピントを合わせやすい。画角は50mmであるが最短撮影距離は100cmとあまり寄れない。加えて逆光耐性は弱くフレアが発生しやすい。それがこのレンズの味であるとも言える。フレアの入り方や形には個体差があるため、それも楽しみのひとつになる。
このレンズは中判カメラだけでなく、マウントアダプターを介してフルサイズカメラでも使用できる。フルサイズで使用する場合は105mmのレンズとして使うことになる。そのため中判では標準であったレンズが望遠レンズへと様変わりする。
ポートレートレンズとして知られる85mmよりも望遠で癖のある焦点距離だと言える。普段135mmを使用しているユーザーからすると案外使いやすい画角なのかもしれない。ボケ感や光の捉え方は中判で使用していた時のそれに近く、優しい写りながらもピント面の解像感は保たれている。
あの柔らかくなだらかなボケ感をフルサイズでも味わえるのだから、レンズは資産だと言う言葉の意味を身をもって実感した。改めて振り返るとやはり良いレンズで名玉と言える。これから中判フィルムの世界に入る人はもちろん、新しい表現を求めているフルサイズユーザーにオススメしたいレンズ。