PENTAX67と写真との向き合い方
僕が愛してやまないカメラがある。写真を趣味にしてから存在は知っていたけれど、フィルムカメラは敷居が高いように感じていた。そんなフィルムのなかでも中判サイズは雲の上の存在のようなもの。
バケペンと呼ばれるそのカメラは憧れの存在であった。
PENTAX67の存在を知ったのは写真家の濱田英明さん。「ハルとミナ」というお子さんを撮った写真集に心を引き込まれたのが始まりだった。
そんな憧れのカメラは友人からプレゼントで手元に届いた。結婚祝いとしていただいたのだけれど、本当に感謝の気持ちで胸がいっぱいだ。そんなPENTAX67だが1本のフィルムで撮れる写真は10枚。これが頭を悩ませる。
10枚という限られた枚数が「何を撮るか」を必然的に考えさせてくれる。デジタルで撮るように何枚も撮れないし、35mmフィルムよりも1枚がより慎重になる。
毎年のように新しいカメラやレンズが発表され、誰でも綺麗な写真が撮れる時代。だからこそ写真を撮る理由や何を伝えたいのかが自分らしさに繋がるのだと思う。
PENTAX67はその大切なものに気づかせてくれるキッカケとなった。今でもこのカメラで何を撮ろうかと悩む時があるが、現像から返ってきた写真を見るとそこには自分の見た世界が写っていてホッとする。
ついついSNSや写真映えを意識してしまいがちだが、流行りには終わりがある。インパクトがあるのと記憶に残るのは似て非なる点もある。
せっかく撮るになら誰かの記憶に残る、そんな写真を残し続けたいなと思い今日も写真を撮り続けている。