フィルムがある暮らし/#029
写真を撮っていてしっくりくるのはフィルムカメラ。あくまでも僕の場合のお話し。フィルムカメラはその場では写真を確認できない。さらにはピントと露出を合わせる作業も必要になる。これが難しくてフィルムを始めたけれど続けられる人が少ない要因でもある。
しかしある程度慣れて来ると、その場で写真を確認できなくても仕上がりがイメージできるようになる。加えてピントや露出調整にかかる時間も日を追うごとに短縮していく。そうなるとフィルムカメラを持ち出したくなるほど、フィルムで写真を撮ることが好きなっている。
なにか目に止まったものを気兼ねなくフィルムに収める。そのひとつひとつの作業が心地よいとさ思える。デジタルには無いフィルムだからこその魅力。それは人によって感じ方が異なる。フィルムで写真を撮るようになってから、暮らしの一部としてフィルムカメラを使うようになった。
フィルムで撮った写真を見返すと日常を撮る機会が増えたことに気づいた。フィルムカメラは自然と日常が撮りたくなる。1枚に込める思いが強いからこそ、残したいのは日常なんだと思う。フィルムがあることで毎日の暮らしが少しだけ明るくなった。
フィルム特有の柔らかい描写が好きな人が多い。どこか温もりのある写真が撮れるので、それに合ったものを撮りたくなるのだ。なんでもないような光景、いつもの光景、そんな時こそ撮りたくなる。その場でパッと見返すのではなく少し忘れたくらいに現像から返ってくる。その写真を見てあの日を思い出しながら、あんなことがあった、こんなことがあったと思い出す。
少し間が空くことで思い出が膨らむ気がする。フィルムがあると暮らしが豊かになる。そんな魅力もある。フィルムに出会えて幸せだ。