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フィルムカメラで365日撮り続けて気づいたこと

2021年は写真と向き合いたくて1日1枚フィルムで写真を撮ると決めていた。
来る日も来る日もシャッターを切る毎日、最初こそは迷いだらけで肩にも力がはいっていた。なぜなら”良いものを撮ろう”と考えていたからだ。具体的にはSNSでの反応だ。毎日写真を撮るとなると当然ながら仕事の日も写真を撮っている。日中は仕事であるため撮れるのはそれ以外の時間になる。さらに天候の問題もある。毎日撮る場合は天候の影響を大きく受け、雨の日はもちろん、台風や雪の日だってある。それでも写真を撮り続ける。慣れるまでは思うように撮れずに悩み続ける日々であった。

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毎日写真を撮る相棒に選んだのはNikonのフィルムカメラF6。このカメラはオートフォーカスが使え日付を印字できる。せっかく毎日撮るのだから日付は欲しいなと思っていたので悩む必要は無かった。初日こそウキウキして明るい未来しか見えていなかった。元旦から出勤であったのは今年も変わらない。真っ白な化粧をまとった街に自分の足跡がついていく。目の前は白い世界で誰の足跡もない、振り返るとそこには自分の足跡がある。何事も不安ばかり募るけれど勇気を出して一歩を踏み出せば確実に前に踏み出せるのだと知った。

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撮り始めて数週間は撮りたいものを撮っていた。けれど少しずつ似ている写真になってきた気がした。人には性格があるようカメラを向ける瞬間にも特徴がある。だからこそ自分らしくもあるが、それが返って視点を狭めている気がした。

potra400.f6.山本写真機店.20210309-19

それまで撮っていた写真は間違いなく自分の写真。けれど、どことなく美化されている気がした。それはパッと惹かれた瞬間にカメラを構えてもより良く写るように光の向き、アングル、構図などを調整するからだ。これ自体が悪いわけでなくむしろ良いことだと思う。自分が伝えたいものをより伝わりやすくするための大事なワークフローだからだ。しかし、本当に自分が見た世界はもう少しリアルで無駄が多いのかもしれない。そう思うようになってきた。

PORTRA400.F6.山本写真機店.20210401-32

それからは自分の琴線に触れたものを素直に撮るようにした。今までどことなく背伸びをしていた写真が何となく生き生きして見えた。今まで身についているワークフローは簡単には変えられい。けれど、少しずつ変わろうとしている自分が写真に表れているようで嬉しくなった。人からみたら変わらないかもしれない。けれど自分のなかでは向き合い方が確かに変わった。

PORTRA400.F6.山本写真機店.20210614-8

365日撮り続けて気づいたこと、それは日常の大切さだ。毎日撮り続ける場合は必然的に自分の日常にフォーカスされる。そこに写し出されたのは紛れもなく自分自身の日常。自分が見ている世界そのものだった。家族の日常、通勤の日常、恋人との日常、友達との日常、兎にも角にも日常が写っていた。

PORTRA400.F6.山本写真機店.20210614-34

人によって撮るものは違う、だからこそ写真は面白い。だからこそ僕なりの視点も必ずある。背伸びしない等身大の自分が見ている世界。そこに写っていたのは忘れたくない日常だった。繰り返される日常のなかで自分という人格が成り立っている。だからこそ、その日常に感謝しているし残したい。きっとそんな願いを込めながら無意識に撮っていたのだと思う。

PORTRA400.F6.山本写真機店.20210712-35

写真を撮り続けていると悩む日々、長いトンネルを進んでいる感覚になる。それは向き合っているからこそでもある。写真を続けている以上は永遠の悩みなのかもしれない。”自分らしさ”を突き詰める旅は始まったばかりだ。365日写真を撮り続けて気づいた等身大の自分は日常を大切にしたいのだと知った。正直なところまだ言葉にするほど整理はできていない。全ての写真が現像から仕上がって再び見返した時、何か気づきがあるかもしれない。それもまた楽しみである。

PORTRA400.F6.山本写真機店.20210910-2

365日は気が遠くなるほど長く感じた。最初は続くのかと何度も疑心暗鬼になった。けれどこうして達成できたことを素直に喜びたい。毎日寄り添ってくれた相棒のNikonF6は一度も不調にならず感謝している。写真に出会えて幸せだ。

SUBARU(マカベ スバル)
鳥取県在住 / なにげない日常をテーマに写真を撮っている / 出張撮影
写真イベント企画  / 鳥取のPR活動も行なっている。
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