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2025.02.23の与太切川上流(山歩き編)ーテンの足跡ー
早朝、快晴の中、カラマツや広葉樹が広がる与田切川上流の森林帯。
雪に覆われた林道を歩く。
コゲラ、イカル、カラ類の声が賑やかに響く。
お出迎えされているように思うが、決して歓迎はされていないだろう。
それ以外に聞こえる音はない。
冬の森は、なんて静かなのだろう。
そんな中、歩き始めてすぐに、樹上から「ドドドドド」という大きな音が数回響いた。
思わず足を止める。
重機の音かと思ったが、そんなはずはない・・・。
よく聞くと、キツツキ(アカゲラ?)のドラミングだった。
「こんなに大きな音がするのか」
求愛時期が近づいているのだろう。
音の大きさに驚きながらも、近づく春を感じた瞬間だった。
林道を外れ、林内を歩くためにワカンを装着する。
雪の表面は、何度も融解と再凍結を繰り返したのだろう。
しっかり締まっていて、歩きやすい。
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カモシカの足跡が、急峻な斜面を降りている。
かなり新しい。
もしかすると近くにいるかもしれない。
そう思い、カモシカが向かった先を双眼鏡で探したが、見つけることはできなかった。
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カモシカを双眼鏡で探しながら、広い範囲の山の斜面を見ていると、きっとどこかにクマが冬眠しているだろうなと思う。
実際にこの森では、過去、多くのクマの痕跡を見つけている。
雌グマは、冬眠穴で赤ん坊を大切に育てているに違いない。
その赤ん坊も、4月には木々の匂いを嗅ぐだろう。
今回、この森林帯ではテンの足跡をよく見かけた。
これもかなり新しいと思う。
2kmほど歩いた林道にもずっと足跡が付いていたし、林内にも幾つかあった。
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斜面をこちら側に歩いてくるテンの足跡があった。
それを基に想像してスケッチしてみた。
目線を下げてテンが迫ってくるイメージをする。
・・・が、全くうまく描けない。
なるほど。私はテンに出会ったことが、数える程度しか会ったことがない。
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しかし、これだけ多くテンの足跡を見たのだ。
今回は、昨晩ここを走ったであろうテンを描こう。
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下手なりに描き上げてスケッチブックを閉じる。
太陽がだんだん高くなり、南斜面を明るく照らす。
もう時期、春になる。
あと1ヶ月もすれば、ミソサザイの囀りが沢中に響くだろう。
雌グマよりあとに冬眠した雄グマは、それでも一足先に目を覚ますだろう。
また新たな季節が動き出す。