見出し画像

2024.10.20の斧研沢(山歩き編)


愛車の軽トラを林道脇に止めて、山に入る支度を整える。
「意外と寒いなぁ」
10月下旬なので当たり前なのに、昨日は半袖で過ごしていたこともあり、体が少し慣れないのだろう。

アカマツと広葉樹の森の中に入る。
低木層はほとんどなく、とても歩きやすい。
土壌もふわふわと柔らかく気持ちが良い。

そんな森には、いたるところに獣道があった。
きっと多様な動物がこの獣道を利用しているのだろう。
私もその道を借りて奥へと進む。

木々の上部を強く吹き抜ける風の音が、いかにも秋らしい。
その風を追いかけるように、私の体をゆっくりした風が通り過ぎる。

地面には黄色や茶色の落ち葉がしっかり落ちていて、山では秋がすっかり居座っているようだ。
「秋はもうこんなに進んでいたんだ」
自宅周辺の気候と今ここにいる場所との差が頭の中で整理できない。

今はまだ青い木々の葉も、あと数週間で色を変え、そして落ちていく。

それにしても、動物の痕跡が見つからない。
偶蹄類の足跡らしいものは何度か見つけたが、昨日の雨のせいか、形が崩れていて種名までは同定できなかった。

なるべく気持ちが行きたがる方向に体を進める。
しばらく歩くと平坦な沢に出た。

緩やかに下る獣道を歩いて行くと、午前の柔らかい光が谷間を照らしていた。
「うわぁ、きれいだなぁ」
思わず声が出る。
「こんなところにシカが立っていたら絵になるのに」
そう思ってシカの痕跡を探す。
今日はまだ痕跡らしい痕跡は見つけていないので、そんなに都合良く痕跡がある訳ないのに・・・。
と期待せずに探していたら・・・え?あった!
おそらくシカの足跡。
付近に糞もあったので、シカの足跡で間違いないと思う。

少し分かりづらいが、シカの足跡だろうと推測

自分のイメージと、実際歩いたであろうシカが重なった。
「こんなことがあるんだぁ」
そう思いながら、早速スケッチする。

スケッチを進めれば進めるほど、自分の絵の下手さに愕然とする。
日頃から描いていれば、こんな時でもサラサラ描けるモノを・・・。
あとで描き直そうか。
でも結局、現地で描いたものの方が何故かしっくりくる。

圧倒的な絵の下手さ

描き終わってから、あらためてその風景を見てみる。
最初に感動した日の光は、傾きが変わったのか印象が異なっていた。
あの瞬間に捉えた風景。
写真家が光を大切にする気持ちが少し分かるように思う。

それでも、気持ちいい場所であることには変わりがない。
地図に「お気に入り」マークを付け、車に戻ることにした。
また歩こう。
この森と友達になれればいいなぁと思う。

いいなと思ったら応援しよう!