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2025.01.22の西又川流域(山歩き編)ー親子のカモシカー

先日、いつものフィールドから離れて、少し遠いところを歩いてきた。
そこは雪が膝下くらいまで積もっていて、久々にワカンを履いた。

稜線を進む。
青空と雪原が描くスカイラインがとても美しい。

同じ稜線でも、場所によって雪質が全く違うことに少し驚く。
サラサラの雪は滑りやすく、湿った雪はワカンに重くまとわりついて厄介だった。

何度か斜面を頭から転んだ。
雪の上で転ぶと、なぜか笑えてくる。
自分の滑稽さになのか、ふわふわの雪の優しさになのか・・・。
斜面の下側に頭が向いた状態で倒れると、平地のように簡単に起き上がることができない。
頭と中型ザックが重く、元に戻せないのだ。
(必死にもがく自分の姿も面白く、これも笑えてくる)
そんな時は無理に立ち上がろうとせず、一度前転して足を下側に戻すやり方がスマートな方法だ。

歩いた稜線や斜面では、カモシカの足跡を何度も見つけた。
同じ個体なのだろうか。
少し前、ここを通った足跡。
目を凝らすと、私の前を歩くカモシカの姿が透けて見える。

別の足跡は斜面を上がって来て、稜線を越え、再び下っている。

そんなカモシカの足跡を基にスケッチする。

ふと、視界の隅で何かが揺れる。
・・・。
いや、何でもない。
ヒノキの枝に積もった雪が落ちたのか、葉が少し揺れただけだ。
「大丈夫、ちゃんと反応できている。」
もし動物が視界に入れば、私はきっと見つけることができるだろう。

斜面の上に、薄黒い塊を見つける。
もしかして・・・。
双眼鏡で確認するとカモシカだった。
こちらを見ている。
肉眼ではぼんやりとしか分からなかったが、双眼鏡で見ると2頭。
1頭は母親で、もう1頭は一昨年生まれの子供だろうか。
ひとまわり小さく見えるが、一見、顕著な差はないように思う。
母親と体毛の色や、部分的に濃い色のところが一緒だ。
母親の影に隠れて顔だけ出してこちらを見ている。

10分くらい観察したが、いっこうに動かない。
だんだん申し訳なく思えてきた。
彼女らが歩く姿を見たかったが、諦めて下山する。

この場所はササが多く茂っていて、雪に埋もれずに葉が出ている場所も多いので、この厳冬期でも、飢えをなんとか凌げるかもしれない。
そう思うと、少し気が楽になる。
無事にこの冬を越えてもらいたい。


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