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【翻訳】孤独に光を当てる SOLITITUDE ー E. W. Wilcox

「貴方が笑えば、世界は貴方とともに笑う。」
という一文を、ネットでちらっと見たときに、「どういうこと?」と思いました。
その原文を見つけることができたので、自分なりに翻訳してみようと思います。

こんにちは。
6回目の翻訳です。
デンマークの童話作家アンデルセンの『人魚姫』の翻訳をしていましたが、今日は気分を変えて、アメリカの詩人エラ・ウィーラー・ウィルコックスの代表作である "Solititude" を翻訳してみます。
難しそう。


アメリカの詩人 Ella Wheeler Wilcox

Ella Wheeler Wilcox(エラ・ウィーラー・ウィルコックス)

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エラ・ウィーラー・ウィルコックスは、1850年にアメリカの農家の家庭に生まれました。
幼い頃から詩作を始め、高校の頃には州内では有名な詩人となっていました。
28歳の時に結婚し、息子が1人生まれるも、生後まもなく死亡します。
長年連れ添った夫にも先立たれ、夫の死後3年後、1919年にその生涯を閉じました。
どうやらオカルトにどっぷり浸かり込んでいたようです。


代表作 SOLITITUDE  「孤独」

"SOLITITUDE" (孤独)は、ウィルコックスの代表作となった作品です。

この詩を書く契機となったのは、舞踏会に向かう旅の途中で、喪服を着て悲しみに暮れる女性に出会ったこと。
ウィルコックスはその女性を慰め、その後予定通り舞踏会に赴いたものの、出席する気分にならなかった。
鏡に自分の晴れやかな顔を写したときに、突然その未亡人を思い出して書いた詩が、私も冒頭に挙げた、あの有名なSOLITITUDEの冒頭部分だそうです。

以下のサイトを参考にしました。


翻訳

それでは、これらを踏まえた上で、翻訳していきたいと思います。

SOLITITUDE
“Laugh, and the world laughs with you;
Weep, and you weep alone;
For the sad old earth must borrow its mirth,
But has trouble enough of its own.
Sing, and the hills will answer;
Sigh, it is lost on the air;
The echoes bound to a joyful sound,
But shrink from voicing care.

Rejoice, and men will seek you;
Grieve, and they turn and go;
They want full measure of all your pleasure,
But they do not need your woe.
Be glad, and your friends are many;
Be sad, and you lose them all;
There are none to decline your nectar'd wine,
But alone you must drink life's gall.

Feast, and your halls are crowded;
Fast, and the world goes by.
Succeed and give, and it helps you live,
But no man can help you die.
There is room in the halls of pleasure
For a large and lordly train,
But one by one we must all file on
Through the narrow aisles of pain.”
       抜粋:: Ella Wheeler Wilcox “Poems of Passion”。 Apple Books

孤独
あなたが笑えば、世界はあなたとともに笑う。
あなたが泣けば、あなたは独りで泣く。
悲しく古き地球は、自らの歓喜を借りてこなければならないから、
しかし、自分自身の中に苦しみが十分にある。
あなたが歌えば、丘が答えてくれるだろう。
あなたが嘆けば、そよ風は分かってはくれない。
その反響は、喜びに満ちた響きをしている、
しかし、気苦労を声に出すと、後退っていく。

あなたが喜べば、あなたは男たちに求められる。
あなたが悲嘆すれば、彼らは踵を返す。
彼らはあなたの喜びを目一杯、欲するだろう、
しかし彼らは、あなたの悲哀を必要としない。
あなたが喜べば、あなたの友は多い。
あなたが悲しめば、あなたは彼ら全てを失う。
あなたからの甘美なワインを拒む者はいない、
しかしあなたは、独りで人生の苦汁を飲む。

宴を催せば、あなたの家の広間は人でいっぱい。
食を通さなければ、世界は通り過ぎていく。
成功し与えれば、それはあなたが生きていくのを助けるだろう、
しかし誰もあなたが死ぬことを助けてはくれない。
喜びの広間には空間がある、
そこに、大きく横柄に絶え間なくやってくる、
しかし、一つずつみんな、私たちはやすりをかけなければならない、
狭い痛みの通路を抜けるために。


あなたが笑えば、世界はあなたとともに笑う。
あなたが泣けば、あなたは独りで泣く。

難しかったです。
悩んで悩んで、自分なりに翻訳してみました。
間違いや、解釈の違いも多々あるかもしれませんが、今の自分の精一杯です。

Laugh, and the world laughs with you;
Weep, and you weep alone;

この詩で一番有名な一節。
この部分の翻訳がとても厄介でした。
「命令形, and 〜」という構文では、「…しなさい、そうすれば〜」という意味で、andの後には前向きな内容が来ることが多いようです。
つまり、直訳すると、
「笑いなさい、そうすれば世界はあなたとともに笑う。
泣きなさい、そうすればあなたは独りで泣く。」

となります。

冒頭でも紹介したように、この部分のいわば定訳となっているものは、「貴方が笑えば、」というふうになっています。
最初に翻訳した時には、なぜこの翻訳になったのか、よくわかりませんでした。
あまり知られていない英語独特の言い回しなのか?とか、考えました。

そういうことで私は最初、命令形の形のままで翻訳していたのですが、最後まで翻訳を終えてみて、これは「貴方が笑えば、」という形で翻訳をしたほうがいいと思い直しました。

この詩は、自分が悲しく苦しい時に限って孤独でいることを言っているのではないかと思います。
楽しい時には、全然孤独じゃなく、周りに人がたくさんいるのに、苦しくなると、なぜかいつも孤独で。
一見すると、この詩は「悲しくても独りでそれを悲しむんじゃなくて、笑え!」みたいな、そんな暴力的なことを言っているように思えてしまいます。

しかし、この詩にはどこか優しい響きがあるように思います。
『孤独』と言う題名からも伺えるように、何も悲しい時にも無理をして笑えと言うことではなく、むしろ悲しいときの孤独に光を当てて、その正体を透かして見ようとしているような詩のように感じました。
だから、命令形を使いたくありませんでした。

あなたが笑えば、世界はあなたとともに笑う。
あなたが泣けば、あなたは独りで泣く。

悲しみや苦しみの最中に私たちのそばにいるのは、ただ孤独だけ。
その孤独に、光を当てて、悲しむための詩。


最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。
あなたには、この詩がどんなふうに映るのだろうか。


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