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【翻訳】 ANNE OF GREEN GABLES 『赤毛のアン』 #8

「別にあなたの言い分を否定するつもりはありませんよ、レイチェル。私だって不安なところはありますからね。でもマシューがひどく乗り気なんですよ。それが見て取れたものだから、私が折れたんですよ。なにしろ兄さんが何かをしたいと決めることなんてそうありませんから。その時には、私が聞き入れないといけない気がしてね。それに、危険かどうかなんてことを言ったら、この世で人がすることなんてほとんど全部危険がつきものなんですからね。自分の子供を持つって言ったって、危険はあるでしょう。いざそういうことになっても、必ずしもうまくいくわけじゃないし。
 ノヴァスコシアならこの島のすぐ近くだし。何もイギリスや合衆国から連れてこようというわけではないからね。私たちとそれほど変わりはしないでしょうよ」

「まあ、何事もないといいがね」
 とレイチェル夫人は言ったが、その声音には痛々しいほどの疑いがはっきりと現れていた。
「もしグリーンゲイブルズに火がつけられたり、井戸の中に毒を投げ込まれても、私が警告しなかったとは言わないでおくれよ。ニューブラウンズウィックじゃあ、孤児院の子供が井戸に毒を入れたんだとさ。それで一家全員もがき苦しんで死んでいったそうだよ。まあ、この場合は女の子だったみたいだがね」

「まあ私たちは女の子を引き取るわけじゃありませんから」
 まるで井戸に毒を入れるのは、まるっきり女の所業で、男の子ならその心配はないとでも言うかのように、マリラは言った。
「私は女の子を引き取って育てるだなんて、考えもしませんでしたよ。アレクサンダー・スペンサー夫人ったら、どうしてそんなことをするのかねぇ。まああの人なら、孤児院全員を引き取るくらいのことはしそうだがね」

つづく


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