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【グラホのリアル】女の園(死語)🌹をサバイブするルールブック🥀

前回に続き、私の後輩ちゃんの話。
▼前回のお話はコチラ

彼女は、晴れてグランドスタッフになる前に、語学留学も兼ねて韓国のエアライン学校に通っていたそう。

その学校は、かの有名な財閥が経営する航空会社に多くのクルーやグラボを排出していました。エアラインに就職したいと思う若者たちは、まずその学校へ入ることが一つの関門でした。

彼女は日本人だったので、外国人枠?で特別にそこまで厳しくはあたられなかったそうですが、学校の先輩方はとーてーもー怖かったそうです。
もともとタテの関係が厳しい韓国ですから、まぁそこはなんとなくわかる気がします。

忘れもしないエピソードを挙げると、ある後輩が、先輩の誕生日においしそうなケーキを買って行ったそうです。誕生日ですもん。ケーキでしょ🍰

先輩喜んでくれるかしら♡キャピキャピ、と思って渡すと、その先輩は、

「私のこと太らせたいわけ?!」
とブチギレしたそうです。

コワ〜!
リアル学園ドラマやーん!

台本もないのに、そんなドラマチックなセリフがすらっと出てきちゃうところもすごい。

あとは、廊下で先輩とすれ違うなら、必ず止まって名前も呼ぶって言ってたかな、挨拶をしなければいけなかったそうです。会社の社長デスカー?!

Welcome to The Jungle: 女の園🌹101

先輩は後輩の何十倍も価値があるエラ~い生き物

私が働いていたハンドリング会社は、女性が多い職場だったので、私は女の園とか、大奥とかふざけて呼んでいました。
ここでも、やはり上下関係が厳しかったです。

女の園ではとにもかくにも、先輩が偉いんです。
先輩を立てて、立てて、立てねばなりません。
年齢ではなく、社歴が全て。
自分より1日でも早く入社した人は、自分にとって先輩なのです。

◆ 暗黙ルール①先輩にやらせるの禁止🙅🏻‍♀️

カウンターで搭乗手続きをしていると、お客さんの混雑が引いて、暇になる時間帯があります。

そこで、後輩同士でおしゃべりをしたり、ぼんやりしていると、誰も何も言わないけれど、「気が利かない後輩」と認識されてしまいます。

お客さんがいなくなった時は、カウンターをきれいに掃除したり、備品を補充しなければいけません。もちろん、毎日清掃係が誰かしらにアサインされているのですが、新人が積極的にやらなければいけません。

特に、先輩がそういう誰でもできるようなことをやっていると、新人が「先輩、私が代わります」と言った方が良いでしょう。

例え先輩が、「ううん、今日私清掃のアサインだから」と答えたとしても、そこで引き下がってはいけません。

「いいえ、私にやらせてください。」
「私がやりたいんです。」

そういって、その仕事を無理やり先輩から奪う、みたいなことをしなければいけません。でも、もし後輩がそうしなくても、誰も注意はしません。のちに批判はするでしょうがね。

今の時代きっとこんなこと言ってはいけないけれど、こういうところが「女の園」と呼んでいた所以です。めんどくさいのよ、女ってそういうところ。気に食わないなら指摘してあげればいいじゃんって思うけど、誰も言わない。

|後輩たち≪弱い者たち≫がどういう行動を取るのかを、草陰から息を潜めてじっと見ている。

そして「あの子めっちゃ気利かないんだけど。先が思いやられるぅ」とか言うだけ。

あとは、先輩が手一杯荷物を持っているとか、重いものを運んでいらっしゃるときも、先輩の側まで走っていって、「私が持ちます!」と申し出なければいけませんでした。

明らかに私たちよりガタイの良い、男性職員が同じように重い荷物を持っていたとしても、同じように「代わります!」と言わなければいけないのです。

◆ 暗黙ルール②先輩のグラスを空にするの禁止🙅🏻‍♀️

私が新人の頃、先輩にやっと女の園に溶け込み始めたのは、入社から3ヶ月以上経った頃でした。

理由は、忘年会でテキパキ先輩方の注文を取る私の姿をみて、「こいつ気が利くやん」と思ってくださったから(笑)。

私はお酒を飲まないので、酔っぱらってぼんやりすることもなく、先輩がグラスを飲み終わりそうになると「次何飲みますか!?」、「メニューいりますか?!」と聞いてまわり、ばたばた動いていました。

翌日、めっちゃくちゃ怖かった先輩に謎のお褒めの言葉をいただきました。そしてその直後ミスしても、大したお咎めは受けませんでした。

◆ 暗黙ルール③先輩に口答えするの禁止🙅🏻‍♀️

チェックインカウンターでの出国手続きは、最終的にお客様に搭乗券と荷物の預かり証をお渡しできれば、それでOK。なハズなんだけれど、新人の期間は少しでもその作業が時短でできるよう、OJT期間中先輩からアドバイスを受けます。

「荷物のタグを出している間、搭乗券出せば早いでしょ」とか。
「先にシート決めてからチェックインして」とか。

で、ちょっとでも先輩の教えてくださる道から逸れたことをしようものなら、「何それ。誰に教わったの、そのやり方!?私、前にそんなこと教えた?!」と追求を受けます。

私がOJTの時はこんなことがありました。

お客さんの希望の席が見当たらなかったので、「ココとココなら空いていますが、どうしますか?」と聞こうと、お客さんに私の見ているモニターを見せようと、動かしたところ。

先輩は、スパーンっとモニターを手ではたき、モニターの位置を戻して、「お客様に見せないでっ!!!」と大声で叫びました。お客さんもびくっとしていました(苦笑)。

他の先輩がしていたのを見たから、私もしただけなのに、何で怒られるんじゃい!と心の中では思っていました。

でも、だからと言って「●●先輩もこうしていたので…」と名指しで指摘するのは絶対NG。いかなる理由でも先輩の怒りに火をつけたら、もうひたすら謝るしかありません。口答えすると、火に油を注ぐだけです。

そして、ある先輩に一度ダメだと言われたことは、違う先輩に「いいよ」と言われたとしても、その先輩がいる時はやっちゃダメ。

「今日は●●さんとOJTやから、この方法やった方がいいな」と、OJTについてくださる先輩によって、チェックインのやり方を変えるしかありませんでした。

OJTが終わり、やっと1人でチェックインができるようになると、不安な反面、「やっと自分のペースでできる」とちょっとホッとしたことを覚えています。

縄張り争い🐅

派閥って言うとちょっと大げさですが。
気の合う同僚、合わない同僚ってやっぱりいますよね。
ココでいう派閥とは、この先輩より、あの先輩との方が仲がいい、馬が合う、というだけの話なんです。
男性職員からは「派閥」と揶揄されていました。

「あーグランドの人や」って思えるようなメイク、おくれ毛1つない夜会巻きを毎日完璧にこさえた、仕事に命を懸けていた先輩がいました(仮にA先輩と呼びます)。
その先輩は、自分と雰囲気の合いそうな新人を見つけては、飲みに連れて行って、「お気に入り=子分」にし、自分の周りを味方で固めていました。

そのザ・グランドな先輩の派閥の対になる勢力として、サバサバした先輩がいました(仮にB先輩と呼びます)。私と同じくお酒を飲まないので、突然「飲みに行こう!」と誘って後輩のプライベートを拘束することもなく、仕事でもいい感じに肩の力が抜けていたので、私はその先輩と仲良くしてもらっていました。

A先輩とB先輩は、表面上は仲良くしていたけど、お互いへの不満がたくさんありました。決してその不満を「ねぇ。そろそろちょっと腹割って話そうよ」と打ち明けるようなことはありませんでした。

一触即発のような関係でいて、それでもお互いのプロ意識で何とか平安を保っていたような感じでした。

B先輩は、私より先に会社を退職されてしまいましたが、日本にいた時は毎月会っていたし、今も連絡を取り合っています。

A先輩は、出世街道(死語)まっしぐらで、まだまだ現役でご活躍されているそうです。

珍しい生き物🐍

グラホには、やはり女性が多い。
とはいえ、男性がいないわけではありません。一定数います。

だいたいみんなサバサバして、おおらかな人が多いのですが、ウェットな人もいました。

私が大大大嫌いだった先輩は、後者でした。※性別は関係なく、性格の悪い先輩がたまたま男性だったというだけの話ですが。※

野球部出身だったからか、根っからの体育会系で、弱い立場にいる後輩にはとても高圧的。乱暴な言葉を使うし、彼のせいで退職を選んだ後輩たちがたくさんいました。でも、先輩や上司の前ではこびへつらい、驚くべきフットワークの軽さを見せるのでした。
派閥という言葉を積極的に使っていたのも彼。

私はそんな二面性を持った彼を心底嫌って軽蔑していましたが、仕事ではしょうがない。へこへこしながら、距離をとっていました。

ある日、彼と搭乗ゲートで業務を一緒に行うアサインがありました。
彼がインチャージで、私は彼の業務をサポートをするサブ。

搭乗手続きが中盤に差し掛かった頃。
彼がいきなりキレ出しました。
周りにお客さんもいたのに大声で、

「もう!じゃあアンタが全部勝手にやってよ!」

そう言って仕事を放棄しました。
びっくりしすぎてあまり覚えてないけれど、どっかに座り込んでケータイをいじっていたような…。

私は彼が私の何にキレたのかもわからず、しかしとりあえず飛行機を出発させなければならなかったので、言われた通り、後輩たちと業務を最後までやり遂げました。

飛行機を出発させてからも、意味がわからないと思い、でも彼の方が先輩なので下手に出て、「また同じような間違いがあったら困るので、私が何を誤ったのか教えてください」と恐る恐る聞いてみました。

彼は、私が後輩に【1つ指示を出したこと】がとーっても気に食わなかったそう。「それはインチャージの仕事だから。アンタの仕事じゃないよね?!」とキレた理由を説明してくれました。
でも私が指示を出したのは、後輩が私に「xxxした方がいいですか?」と聞いてきたので、「そうだね、お願い」と答えただけの話でした。

あまりにもばかばかしい理由だったのですが、先輩のご気分を害してしまったことを謝りました。
そして、
「でも私は自分が悪いことをしたとは思っていません。それよりも、先輩があんな風にキレて仕事を放棄した方が問題だと思います」と言い、その場を立ち去りました。

いくらムカついても、プロなんだから仕事を途中で放棄するのはNGです。

その先輩は、今は転勤をされて違う空港にいらっしゃるのですが、その空港でも散々後輩をいじめまくって、「やべぇ人」に公式認定されているそうです。

究極のサバイバル方法 🥀

私は母子家庭で育ち、中高女子校だったので、女性だけに囲まれて働くのに全然違和感はありません。
そんな私でさえも、女の園に溶け込むのに何週間も、何カ月もかかりました。

やっぱり女の園は、特別な場所なのです。

いろんな人の感情が絡みあう場所なので、動きにくい、と感じることもあるでしょう。
周りが見えていないと、大けがをすることだってあります。

サバイバルする方法をいくつか語りましたが、最後は私の大先輩の言葉で締めたいと思います。

私は働いて2年目の時に、どえらい失敗をやらかして、「もうこんな仕事辞めたる~!!!」と、トイレで泣いていたことがあります。

顔を真っ赤にして泣いている私を見て、ザ・グランドなA先輩がアドバイスをくれました。

「辞めたくなったら、初心に戻れ。グランドになりたくてなったんやろ。」

「このアドバイスのおかげで、踏ん張ろうと決めた」という美談では決してないんですが、こんなベタベタなアドバイスが、なぜかとっても記憶に残っています。

私が先輩の立場なら、泣いている後輩に何て声をかけるかな。
A先輩のように「仕事続けてればいい事あるよ!」的なアツい言葉は、きっとかけられないだろうな。
だって後輩に何かあっても、私は責任取れないしぃ。

でもわざわざA先輩は、私に続ける選択肢を勧めてくれました。「アタシが面倒見たるから!」と言わんばかりに。
多くの転職を繰り返しましたが、そんな風に言ってくれた人は、彼女だけでした。

ジャングルで迷ったら、初心に戻れ。
なぜ自分がそこに飛び込んだのかを、思い出すべきなんですよね。

そうするときっと、なんとなく進むべき方向が見えるんじゃないかと思います。
まだまだ先に進める余力がある、と思ったら、もう少しサバイブしてみればいいし。
「十分やりきった」とか「これが限界」と思うならジャングルを去ればいい。
自分の力量を知っているのは、自分しかいませんからね。

グラホを辞めて4年経っても当時の事をネタにして記事を書いているなんて、私相当未練タラタラだな(笑)と思った土曜の夜。

長文失礼いたしました🙇🏻‍♀️

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