不健康なバターに縁を切られた日
8⃣ 2016年9月
▶Previously on Majimena Butter
ジョンとはメッセージで別れて以来、連絡を取っていなかった。
それでも、私は心のどこかで彼が私を恋しがっていてくれると信じていた。そんなことは、あるはずもないのに。
別れ話の際、「治療のためにアメリカに行くのは9月に決めた」と言っていたことを思い出した。
何日か、何便のフライトに乗っているのかもわからない。
ただ、彼は自社便に乗るに違いない。
職権乱用だとは分かっていても、彼の乗るかもしれない便の乗客リストを片っ端から見まくった。
何か、悪い予感がした。
でも、自分の手を止めることができなかった。
見つけたくないものを見つけそうで怖かったのに、彼の名前を見なければ気が済まなかった。
そして、ついに9月中旬(何日だったかは覚えていない)のフライトの、乗客リストに、彼の名前を見つけた。
同伴者がいた。
それは女の名前で、聞いたことのある名前だった。
私が彼と出会ったときに、別れたばかりと話していた、元彼女が一緒だったのだ。
いてもたってもいられず、彼に電話をかけた。
もしかすると、「元気だった?」と優しく電話に出てくれるかもしれない。
「会いたいよ」と言ってくれるかもしれない。
そんな甘い期待は、すぐに消えてしまった。
彼は、電話に出なかった。
30回以上電話を掛けた時に、彼からメッセージが来た。
「Please stop.」
電話をした経緯を説明して、「私たちが別れて2週間も経っていないのに、どういうこと?!」と怒りのメッセージを送った。
「君には関係ない話だよ。悪いけど、もう僕の人生に、君はいないから。」
気が狂いそうだった。
電話をするなと言われても、電話をその後も20回はかけ続けたけど、彼は頑として電話に出なかった。
情けもクソもない男だ。
悔しくて泣きじゃくった。
少し嗚咽が落ち着いてから、あなたの幸運を祈っているとメッセージを送り、彼の番号を削除し、着信拒否までした。
彼から電話が来る可能性があるから着信拒否をしたのではなく、自分が彼にうっかり連絡しないためだった。
これで、私とジョンの恋は、完全に終わった。
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