【Portivy滞在記】家族で過ごす時間について考えさせられた夏
フランス人にとっての休暇
公休が少ないフランス人にとって、
バカンスがいつになるかは、大きな関心ごとである、
ということは前の記事でお話しました。
とにかく「家族で過ごす」ことに
めちゃめちゃ重きが置かれます。
だから、バカンス直前に
「あーコロナの症状っぽいな」と
自覚していても、
検査にはいきません笑(おい!!!)。
コロナに罹患<<<家族で過ごすバカンスが大事、
というよくわからないメンタリティなのです。
(とは言え、我々はそんな考えではありませんよ💦)
今年も我々は、ブルターニュ地方のサマーハウスで
夫の家族と約2週間を過ごしました。
夫は必ず、この地を去るときに涙を流します。
夫にとっては、
それくらい思い出が詰まった大切な場所なのです。
兄弟の不思議な関係
兄弟のヒストリー
夫には、3つ違いの兄がいます。
アメリカ人の妻がいて、
ここ10年アメリカで暮らしています。
休暇で毎夏、妻、子供たちを伴ってフランスへ
戻ってくるのです。
この兄弟を語る上で欠かせないのが、
幼少期の出来事。
お義兄さんは小さい頃(3歳くらいの時)に何度も、
夫を殺そうとしたそうです。
赤ちゃんだった夫が寝ている間、
口の中にビー玉を詰めたり、
夫がよちよちしている時、
タンスを倒そうとしたり…。
義母たちがベビーシッターに任せて出かけると、
出先にパニクったシッターから何度も電話が来たそう。
「早く戻ってきて!」
「大きいの(義兄)が小さいの(夫)を殺そうとしている!」
「絶対にひどい事が起こるから、
私はシッターを辞めます!」
…怖。
夫もお義兄さんも、そんな話は周りから聞くだけで
覚えてはいないようです。
この兄弟には、いとこが計6人います。
お義兄さんの存在は認めつつも、夫は、
自分によく似た、おおらかな感じのいとこが
「自分の兄弟だったらな」といつも思っていたそうです。
お義兄さんは言葉を選ばす、直球。
裏表がない人です。
反対に夫は、繊細で、
人の気持ちを考えながら話します。
性格が真逆の兄弟なのです
(でも、兄弟・姉妹ってそんなもんですよね)。
そして、ある時期を境に
(恐らく2人が大学生・社会人の頃)、
兄弟は全く話さなくなってしまいます。
義母は、その時の状況がとても悲しかったと、
言っていました。
お義兄さんは、弟との関係を修復しようと
努力をしたそう。
まずお義兄さんが夫に歩み寄ましたが、
夫は頑なに義兄と会おうとはしませんでした。
義兄の努力の甲斐あって、
時間はかかりましたが、
2人は少しずつまた、話すようになったそうです。
兄弟の今
関係を修復してから10年以上経ち、
再びこうして同じ場所で一緒に
休暇を過ごすようになりました。
が。相変わらずのお義兄さん。
去年から、謎に
「僕たちにとってもバカンスなんだ」と主張し出し、
(いや、言い分はわかるよ。わかるけどね😂)
部屋割りでは、甥っ子・姪っ子が眠る子供部屋から
いちばー--ん離れた部屋を
選びたがるようになりました。
そして、私たちに
「子供たちを良く知るチャンスだよ」と、
甥っ子たちが泣き叫ぶのを承知の上で、
子供部屋の隣の部屋を勧めます。
朝はゆっくり寝たいので、「それはあり得ない!」と夫。
結局どちらも折れないので、
子供部屋の隣には、義母が。
義母の部屋を、私たち夫婦が使わせてもらうことに。
たかが2週間、されど2週間
この兄弟に家族ができたことで、
義母のサマーハウスが少々狭くなってきました。
そして、
「物置を取り壊して、寝室を増やしてはどうか」
と言う話になりました。
夫が「自分の兄弟だったら」と思っていた
大好きないとこは建築家なので、
今年はサマーハウスを拡張する話が
頻繁に話題に上りました。
単純に物置を取り壊すだけでなく、
2階建てにして、いっそのこと
寝室を2部屋増やしてはどうか。
あるいは、2階を寝室にして、
1階は物置のままにしてはどうか、
などなど、いろんな案が出されました。
どんな方法で拡張するにせよ、
割とお金がかかりそうです。
「年に1回(冬は訪れないので)、
こうして2週間くらいだけ集まるためだけに、
何万ユーロも使って
リノベーションする必要がある?」
と、夫は義母や義兄に問いかけました。
「いやいや、2週間家族で過ごすためにこそ
拡張する必要があるんだよ」
とお義兄さん。
この発言に、私たちは考えさせられました。
もしも。
部屋割りの段階で、
兄弟どちらも
「兄貴の勝手ばっか聞いてらんねー」
「弟はどーしてこーも注文が多いんかねぇ」
と譲らなければ。
義母が解決策を提示しなければ。
きっと簡単に
「じゃあ来年から、
一緒にここで夏を過ごすのは止めよう」
となると思うのです。
…すると、どうなるか。
夫は可愛い盛りの甥っ子たちの成長が見れないし、
甥っ子たちが将来この地を振り返った時、
彼らの思い出の中にも、夫はいないでしょう。
この2週間を失うことは、とっても簡単なんです。
だからこそ、努力しないといけないのです。
家族との時間は、
勝手にできるもんじゃないのです。
一度弟との絆を失いかけたお義兄さんだからこそ
それがよくわかっていたのかも知れません。
たった2週間だけど、
みんなが時間を作って集まれる家にしたい。
そのためには、
誰かが窮屈な思いをする家にはしたくないし、
みんなが過ごしやすい家にしたい。
普段会えない家族とつながって
みんなが最高の夏休みを過ごせるようにしたい。
義兄と夫の間にはいろいろありましたが、
義母の妹、兄弟の家族には、
一緒に休暇を過ごせないほど
溝が深まってしまった人たちもいます。
これは本当に悲しいことです。
たかが2週間。
されど2週間。
家族の在り方を考えさせられた、夏休みでした。
【余談】私にとっての夏休み
夫には大切な大切な場所ですが、
正直、私には少々息苦しい場所でもあります。
ほぼ知らない人たちと、2週間一緒に過ごすって…
逃げ場がない!
めちゃ気遣う!
側から見ると、交換留学に来てる人みたい!
去年の夏は、2週間いろいろ我慢してたことがあり、
帰りの車の中で爆発。
計6時間のドライブ中、
5時間だんまりで過ごしました。
でも、私ね。
文句言う資格ないんですよ。
だって夫の家族、
みんなすごく良くしてくれるから。
私が虫嫌いなのをからかったりはされるけど、
(「ハエなんて悪さしないわよ〜」とか
言われるけど、
いやいや、悪さする・せんの問題じゃないから🤦🏻♀️やっぱ衛生観念イカれポンチや…。)
料理・家事・洗濯手伝えとかも
求められないし、
子供産めや増やせやと
プレッシャーも与えられないし。
なんでフランス語上達しないの?とか
嫌味も言われないし。
むしろ、私がメルシー以上のことを
言おうもんなら、
「バター(=私😂)が喋った!!!!」
と拍手喝采👏🏼👏🏼👏🏼
スタンディングオベーションなのです。
正直、私にゃー関係ないやと思っていた
拡張の話も、
お義兄さんは、
「拡張については、バター(=私ね😂)の意見も
聞かせてほしい。
だって君の家でもあるから。」
と言ってくれました。
こんな素敵な家族には、
バラバラになってほしくないので、
私も微力ながら頑張ろうと思った夏休みでした💪🏻
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