やばい、まじやばい！　新幹線に乗ったら、俺の席に座ってるやつがいた！

やばい、やばすぎるって、新幹線に乗ったら俺の席に知らねーオヤジが座ってた。
何がやばいって、見た目がもうヤーさんそのもの。
これやばいって。　

触らぬ神に祟りなしって言うからな。
俺はとりあえずヤーさんから死角になる位置から観察することにした。
そのうち自分で席間違えたって気づくかもしれねーからな。

ヤーさん、自分の席でもないのに、すっげーくつろいでる。めちゃ、くつろいでる。
上着脱いで、雪駄脱いで、裸足になってる。
あっ、まだ発車前なのに、弁当食い出した。
あれは弁当じゃねー。　
５５１蓬莱の豚まんだよ。すっげーーー臭いやつ。
あーーーやっぱり臭せーーー。
ここまで臭ってくるよ。

もうあそこ座りたくねー。
でも、あそこ俺の席だし・・・

そしたら、ちょうど見回りに車掌が来た。
車掌に、俺の席に変なやついるから、どいてくれって言ってくれよって頼んだ。
そしたら、車掌のやつちらっとヤーさん見て、完全にびびっちゃって、そういうのはあんたがまず言ってくれって言うんだよ。車掌のくせに。
俺が、そりゃないだろーって言ったら、じゃあ、鉄道公安呼びましょうかって。
車掌はもう絶対自分で対処しようとは思ってない。

もうすぐ出発時間だしな。このまま突っ立っている訳にもいかないだろうし・・・
やばいよ。やばいよって思ってたら、車掌とのやり取りがやーさんに聞こえてたらしい。

「おめーら、さっきから何ぐちゃぐちゃ言ってんだ」

ってやーさんが怒鳴った。
超びびった。殺されると思った。本気で。

でも、仕方ないので、
「いやーー、そこ私の席なんですけどぉ・・・」って言ったら、

「おっ、そりゃ悪かったな。ちょっと座ってみたかったんだよぉ。兄ちゃん、勘弁な。」
って言って、荷物をまとめて、運転席から出てってくれた。

いやー良かったよ。善良なヤーさんで。