沈黙の歳月
今朝、コーチングを受けていたら、読書ノートとことばの話になった。
もしも火事に見舞われたとして、ひとつだけ持ち去るものがあるとしたら、私はきっと読書ノートを手に取るのだと思う。
長い年月の中で私の中に残ったたくさんの人の言葉たちと、それに惹かれた自分の感性の年輪。
これが手元にある限り、私は私の歴史を失わないで済むような気がする。
それはmaiyaさんの内側の、どこにどのような存在としてあるものですか?
と問われたので、多分、こころの奥底、小さな、このくらいの、と親指と人差し指で円を作る。
そんなに小さいのですか?
と重ねて問われたので、はい、何というか、心の核というか、真珠くらいの、大きさで。と答えていた。
真珠、と答えてとてもしっくりきた。
貝も貝とて、真珠を作ろうと思って作っているのではない。ただ、二枚貝の内側で、あるがままにひとりでポツンと生を全うしていたら生成された。本当に、私にとって真珠みたいなものなのかもしれない。
「胸の奥に小さく宿る核のような真珠。それを作ろうと意図していたわけでは決してなく、自然と歳月がそれを成した。口を閉ざし籠る貝のように。」
呟いて、土砂降りの休日を雨に濡れながら会いたい人を訪ねる。