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コインランドリーとエモの蜜月についての一考察
映画やドラマに出てくるコインランドリーはどうしてあんなにエモいのか。『パンとバスと2度目のハツコイ』とか、『凪のお暇』とか。
そういえばコインランドリーってほとんど使ったことがないんだけど、あそこって夜中に缶ビール飲んで物思いに耽ったり、ぺらぺらのキャミワンピ着たミステリアスなお姉さんとかよれよれのTシャツ短パンの気怠げなお兄さんに出会ったり、怪しげなおばあちゃんに人生のお説教されたりするところでしょ?
そういうわけで私はまたひとつエモいコインランドリー映画に出会った。
三大・成田凌が出てるけどなんとなくもったいなくてまだ見ていなかった映画のうちのひとつだった『さよならくちびる』。門脇麦、小松菜奈、成田凌って並びがもう好きだよ、そりゃあ。この度Amazon Primeで見放題が始まったので観た。
率直に言って、ただただ雰囲気が好き。
感情の波だとか大きなドラマだとかそういうのはないロードムービーだけど、映像として満足した。ハルレオの歌(by 秦基博&あいみょん)も、その裏で猫背でしゃかしゃかタンバリン振っているシマも好き。成田凌史上最強かもしれないビジュアルのシマについては話すと長くなるのでやめとこう。
そうそう、コインランドリーだ。
彼らも旅の途中、昼間のコインランドリーに立ち寄る。
3人並んで自分の洗濯物を袋から洗濯機に移す。ハルとレオが「小銭ちょうだい」というとシマが無言でポケットをがさごそして小銭を渡す。ハルが落とした小銭をシマが拾って入れる。ハルとレオはそれぞれさっさと出て行ってしまい、シマだけがコインランドリーの中で待つ。同じように洗濯が終わるのを待つ怪しげな女性に見つめられ、シマは気まずそうにスマホをいじってみたり新聞(テレビ欄)を広げたりする。
たったそれだけで3人の性格と関係性が見て取れるようになっていて面白い。3人の背中側からのショットがエモエモで目玉飛び出そうだったのでぜひ見てほしい。
洗濯物は生活感の塊である。でもそれが映像の中にあるとちょっとほっとする。この人たちもパンツとかブラとか洗うんだなって。ちゃんと汗かいてるんだなって。登場人物が画面の向こう側の世界の人からお隣さんくらいの距離になる気がする。
コインランドリーという空間それ自体もいい。季節なら夏が似合う。ごうんごうんと言いながら回る箱が並んだ小屋。テーブルと小さい丸椅子が置いてあってそこで本を読むなり外でタバコを吸うなりしながら、パンツが綺麗になるのを小一時間待つわけだ。その間に起こる何かしらのドラマのきっかけ、つまり非日常との出会いを人は期待する。
エモは日常と非日常の出会いから生まれる。洗濯物が積んであるだけでも、怪しいおじさんに声をかけられるだけでも駄目だ。前者はただのズボラだし(私のこと)、後者はいきなりだったら不審者だ。2つの要素がいい感じに混じりあったときに人はエモいと感じる。知らんけど。
日常と非日常、つまりパンツとミステリアスなお姉さんが交差する場所、それがコインランドリー。それがエモの源泉。
なぜかパンツの話になってしまった。
ここは、コインランドリーは出てこないけどエクストリームエモーショナルな劇中歌のMVでも見ていただいて。
おやすみなさい。
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