【エッセイ】本はまだ生きていた②
①「SA001」「間引全集」
杉森仁香「SA001」「間引全集」は以前YouTubeで紹介した、やまなし文学賞受賞作「夏影は残る」の著者、杉森仁香さんの短編集とエッセイ集である。
エッセイ集では作者の感覚、社会への疑問など首がもげるほど頷かされる。首がもげると表現してしまったのはおそらく、杉森さんのホラーに直結する表現にインスパイアされたからだと思う。ブースには杉森さんと一緒に装丁を担当された麻生誠治さんがいらっしゃり、麻生さんはパッと見たところ、怖い人なのかと思わせるオーラがあった。実際に話してみると、なに、非常に優しいアニキであることが分かり、私の夢の一つに、「麻生さんに装丁を描いてもらう」が加わった。
杉森さんのホラーの申し子と言って然る表現の恐ろしさと、麻生さんの人怖がバランスの良いブースであった。
②「ゆめよい文藝」「子宮体癌体験記」
夏しい子、九里片兼人「ゆめよい文藝」「子宮体癌体験記」の夏しい子さんはYouTube仲間で、小説や文芸誌をはじめ、書く・読むということについて発信をされている。私のYouTubeやnoteにレスポンスを返してくれる非常にありがたい方だ。
癌を克服した過程やその時の心情などは、なかなか話を聞く機会の少ない出来事なので、資料としても読む価値のあるエッセイである。
YouTubeで九里方さんが話す回があるのだが、かなりハスキーダンディな声色をしているため、Bluetoothで繋げたカーステレオの音量をMAXにして聴くのだけれど、それを忘れて次の動画が自動再生された時に事故る位ビックリするので、毎回ヒヤヒヤする。
③「出版前夜」
早乙女ぐりこ「出版前夜」エッセイに間違いなし、百万年書房さんの暮らしシリーズで早乙女ぐりこさんの「速く、ぐりこ!もっと速く!」を読んで面白い人だと思った。SNSで読了を伝えると、フォロワーさんから、自費出版している他のエッセイも激烈に面白いと教えてもらい、ブースに伺った。購入した「出版前夜」は初の商業出版が決まった後の様子を書き記した日記集である。実際に早乙女さんとお話をさせてもらい、腰の低い人だと思うとともに、私も相手もペコペコと腰を曲げていくうちに、膝あたりまで床にめり込んでいたため慌てて這い出した。少しズボンが汚れていた。