:街色
久しぶりの街はもう表情が違っていた。
仲間との思い出を浮かべながら、
今の友と街をぶらつく。
もちろんいつものラーメン屋でいつものチューハイを一杯飲んできた。気分はほろ酔い。
今も僕は楽しく笑ってる。
仲間との思い出を思い出すと少し寂しくなってしまうから、
それを埋め合わせるように笑っている。
そうだ、あの家にはあいつがいて。
この道をみんなで走り回って。
よくここで星を見ながら飲んでたな。
って今の友に話してる自分に
ちょっと悲しくなってる。
あいつらがいないだけ。
もうあいつらがいないだけなんだけど、
この街はおれたちが知ってた街じゃない。
そういえばあのコンビニの灰皿使わなくなったんだ。
実は今、禁煙中で、
とかあいつらに言いたくなる
そしたら、どうせ嘘だろ、とか
またかよ、どうせ続かねえよ、
って言ってくれたかな
いや言われたかったがな。
禁煙なんてどうでもいいんだけど。
気付けば時刻はもう0時をまわる。
昔話に花が咲いていたが、もう終わり。
一緒に飲んでた今の友と別れ、
1人帰路につく。
みんなとの思い出を思い出して、
少し寂しくなる。
記憶に収まらないくらいの思い出と
全力で駆け回った少し遅い青春が
みんなを乗せてやってくる。
嬉しいも楽しいも悲しいも
きついもつらいも
怒りもうざいも最高も
全部があった。
全部が詰まってた。
宝物なんて表現する気はないけど、
僕の人生の一部になっている。
全部がそこにあって、
でもそんときは何にもなくて。
今になって、全部が生まれて。
全部が後から詰め込まれて、
そんなんでも、僕たちの思い出だ。
そんなんが、僕たちの思い出だ。
綺麗だったかもしれないし、
汚かったかもしれない。
うるさくも、透き通ってたかも。
よくわかんないから、
何にも覚えてないことにしとく。
ただ1つでいい。
僕たちの時間は、最高に濃かった。
ありがとう。
今は変わって
もう愛着も無くなってしまったこの街。
少しじめっとしてきたから、
またいつものコンビニで一本吸ってこようか。
また思い出したら少し禁煙してみるかな。
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