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#8 キャロットケーキに入れらる人参の量の限界は何グラムなのか 問題
キャロットケーキ、かなり試作に苦しんだ1品です。
1日に何度も作って食べてを繰り返し、キャロットケーキなのにお腹を壊したりしていました。辛かった。
作るからには特徴のあるケーキにしたいと思って試作に挑んでいますが、キャロットケーキって、どう作ってもなかなかおいしいんです。
懐の深さが違う。
恐らく、いろんなレシピ本で同じようなことが言われていると思いますが、作ってみて納得です。
かつてイギリスでは砂糖の代わりに使われていたというくらい実は甘い人参。
だからなのか、どう作っても、「まあ、いいんじゃない?」という仕上がりになってしまうんです。
キャロットケーキの基本材料は、人参、卵、砂糖、植物油脂、スパイス、小麦粉、BPや重曹(あと塩)です。
ざっくり、配合の方向性を言うと、人参が多い場合、油脂と砂糖を少なくすればするほどお菓子感はなくなります。
強力粉大好きな私ですが、キャロットケーキに関しては薄力粉の方がよりお菓子感がでます。
「お菓子感」という言葉ですが、なぜこんなことを言い出したかというと、人参を大量に入れて油脂と砂糖をかなり減らした配合で試作試食をしてみたところ、「美味しいけど、お菓子として成り立っているかというと違うかもな?」という感想を持ったことに起因します。
私は一応お菓子作りの講師なので、「お菓子らしい」=「砂糖と油脂の美味しさもきちんと生かす」というところは押えないと着地点がズレるなと思い、人参が死なない程度に砂糖と油脂の量を抑えつつ増やす方向で考えることにしました。
あとは、蒸しパンやマフィン、ジェノワーズのような軽さも「お菓子らしさ」を表現するのに必要だったので、大量の水分に耐えられる重めの薄力粉(ドルチェ)を選択しました。
それから、キャロットケーキの特徴として、スパイスを始め、その他ドライフルーツやナッツを大量に入れたレシピも散見されます。出来るだけシンプルな形が美味しいと思っているので、シナモン+もう一つ好きなスパイスを入れて試作を進めました。
何を美味しいとするかは十人十色なので、どういうところに向かっているレシピなのかを理解していただければと思います。
さて、前置きが長くなりましたが、結論。
粉85gに対して、千切り人参150gまでならおいしくできると思います!
(お教室では粉80gまで減らしましたが、生徒さんもシェフも美味しいと言ってくれたのに未だにあれが正解のなのかわからない。)
人参 150g
全卵 65g
砂糖 40g
植物油脂 55g
ドルチェ 85g
BP 2.0g
重曹 0.5g
シナモン 2.0g
お好みスパイス
塩 ひとつまみ
お教室で伝えたレシピとはスパイスの配合は異なりますが、構成はおおむねこんな感じ。
人参を半分すりおろして入れていましたが、シェフに全部千切りの方がおいしいんじゃない?と言われました。
確かにそうかもしれないので、全て千切りが良いと思います!(笑)
重曹は絶対必要です。
BPだけだと大量の水分を焼ききれずべしゃっとします。
重曹は0.5g以上入れると苦みに繋がるので、シビアに軽量してください。
人参は、しりしり器があればしりしり器がよいと思います。
私は持っていないので包丁の千切りをいれました。いろんなレシピを参照して、しりしり器だと断面がぼこぼこして生地なじみがよさそうに思いました。
塩は入れた方が良いと思います。味が締まります。
ちなみにこの配合は、どんなに頑張っても、ふわっと仕上がるまで焼き切るのは不可能なので、すこし水分が残ったような仕上がりです。人参から出続ける水分が残ります。生焼けではありません。
焼きも相当ポイントなのですが、そこは企業秘密で。
この上に、砂糖を多めに入れた甘いクリームチーズを乗せて食べます。
うん、とっても美味しい。
キャロットケーキは、もう少し突き詰められる気がしますが、いったんこのへんで。