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結論が同じなのに話がサッパリ分からない!(文章化が難しかった、僕の体験談)

🍀管理者能力養成研修

25年前。
鬼のように厳しい、『6ヵ月間管理者能力養成研修』という研修に、自腹で参加しました。(ウン十万円を自腹で払いましたよ)

株式会社アイウィルの研修でした。(素晴らしい研修でした)


合宿の2日目だったと思います。
グループディスカッションが行われました。


🍀議題

そのときのグループディスカッションの議題は、

「課長のAさんは、部長の悪口を言う。そんなA課長には従いたくない」
という社員のB君
B君を、肯定しますか? それとも否定しますか?

というものでした。

10人中8人「否定する」という意見でした。
「社員なんだから課長に従うべき」という意見が、1番多かったですね。

わざと雑に言うなら、役職が下なのだからガマンすべき(文句なんか言うな)という理由になります。


🍀同じ結論

僕ともう1人が、「社員のB君を肯定する」という立場となりました。
少数派です。

ディスカッションですから、意見やその理由を語ることになります。
僕も語りました。

このA課長は、『中間管理職者のタブー』を犯していると思います。
だから、社員のB君が「従いたくない」と思うのも無理ありません。

堂々と、意見を語りました。

タブーを犯す直属上司の課長には、B君だけではなく、僕だって従いたくありません。

ダメな上司を、「ダメだ」と見抜き、
だから「従いたくない」と思う。

これは、ごく自然なことだと、僕は主張したのです。


🍀異なる理由

僕は、もう1人の肯定派の方に同意を求める視線を送りました。
しかし、その方は、僕とは異なる理由を語り出しました。

「別に、課長に従いたくないとか、課長が嫌いだとか、そんなのエエやん。俺だって嫌いな上司いるし」

というのです。

僕とその方の結論は同じです。
どちらも社員B君の意見を肯定しています。

しかし、理由は異なります。

僕は、ダメな課長に対し「従いたくない」と言っているB君の意見を、肯定しているのです。

対して、
もう1人の方は、良い課長であろうが悪い課長であろうが、そこは関係ないと言っているのです。

「若い社員が上司に不満を抱くなんて、そんなの普通でしょ」
「みんな上司って、嫌いでしょ」

という意見なのです。


🍀理由が真逆なら

同じ意見だと思ったのに、ちゃんとその人の話を聞いてみると、
その意見に到達する【理由】は、全然違っていたのです。

意見や感想や正義。これらは人の数だけあると、よく言われています。
つまり、意見が同じって、それはきっと希少なのです。

だからといって、ここで「わ~い! 同じ意見の人だ!」と、喜ぶのは早計そうけいです。
極端な話、真逆の理由から、同じ結論にたどり着く場合もあるのです。

例を上げてみましょう。

「死刑反対」という結論は同じでも、

①人が人を殺すことは、たとえ刑法であっても殺人であり罪である

という考えからの結論と、

②死んで楽をさせてたまるか

という考えからの結論は、結論に至る理由は真逆です。


理由が違うと、結論は同じでも、その結論から導き出されるアクションは別になります。

先の①の理由から「死刑」が廃止され「終身刑」に変わった場合は、おそらくは終身刑の囚人にも、基本的人権を認める前提で、刑務所内のルールが決められるのではないでしょうか。

先の②の理由から「死刑」が廃止され「終身刑」に変わった場合は、終身刑の囚人には、きっと死よりも苦しい罰が課されることでしょう。


🍀この記事の結論

25年前、同じ結論だったのに、その方とは全く話が噛み合わなくてビックリしました。
「こんなことって、あるんだ!」と、メッチャ驚いたのです。

言語化が難しくて、なかなか記事にできませんでした。
何とか、僕の言わんとすることが伝わったかな?

①意見は、人の数だけある
②結論も、人の数だけある
③正義も、人の数だけある

ここまでは、識者が著書で力説しています。
この記事の結論はココからです。

意見や結論が同じでも、理由が同じとは限りませんよ!

という注意喚起です。

理由が違うと、
結論は同じでも、その『意味』は全く異なりますよ!

という体験談でした。


🍀〆

ちなみに、研修中のディスカッションは、
「ディスカッションすることを目的」とされていて、主催者側の【正解】というものを提示しませんでした。

正解を探すことを目的にしていなかったのです。
「こういう些細なところに、本物って現れるなぁ」と僕は思います。


妻のゆかりちゃんとも、意見を交わしたい。
意見を交換したい。

正解を主張し論破することが目的なんかじゃなくて、正解などない前提で、そのときの思考の変化を味わいたい。

僕は、ゆかりちゃんが大好きです。







おしまい


※この記事は、エッセイ『妻に捧げる3650話』の第1340話です


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奈星 丞持(なせ じょーじ)|文筆家
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