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【小説】日向と宇宙(1)


昼食の後、自販機の紙カップコーヒーを手にいつもの休息スペースのテーブルに行くと、まだランチを摂って無さそうな貴女が既に座っていて顔も上げずに
「良いお天気ね。」と、何気ない口調でいった。
社屋の東側に、設けてある喫煙所兼休息スペースには、テーブルとイス3脚が3セット並べてあり一番南側だけがこの時間でも日が当たる特等席だった。
「そうだね、風も然程吹いてないしね。日向ぼっこにピッタリだね。」
と、返しながら、貴女の右側の椅子に太陽の方に向いて座った。私は、ポケットからスマホを取り出してメッセージのチェックを始めて気が付いた。
太陽の絵文字+get と Vサインしているネコのキャラクタースタンプ
15分前の送信、貴女が好きそうなキャラクタースタンプで「ありがとう」と返信すると、頬杖をつきスマホを弄りながら少し笑った気がした貴女は、唐突に 「遠くに行きたい。」と、つぶやいた。
咄嗟に「次の休みには海にでも行こうか?」と聞き返して見たが、好きな曲でも見っかったのか、あしでリズムを取りながらイヤホンで何かを聴きいて返事がなかった。
暫くしてイヤホンを外して顔を上げた貴女と目が合うと、いたずらっ子の様な可愛らしい笑顔を向けて、
「宇宙に行ってみたいと思わない?」
と、言いながら。立ち上がって、左手をひらひらと降って行ってしまった。

続く

#宇宙SF


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