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枕草子 第167話 職の御曹司(3)

清少納言先生:続きをお願いします。
舞夢    :了解しました。

有明の月の頃でした。
あたり一面と言いましょうか、庭に霧が立ち込めたことがありました。
女房たちが庭におりて、散歩するのを気づかれたのでしょうか、中宮様もお体を起こされました。
御前にお仕えする女房たちも全員、端近に出てきて座り、また庭にもおりて遊んでいると、少しずつ夜も明けてゆくのです。
私が「左衛門の陣にでも行きますか」などと声をかけると、他の女房たちも「私も」「私も」と言って、つい来ました。。
その時でした。
殿上人が大勢で、「なになに一声の秋」という詩を吟じて、近づいてきたのです。
それで、御曹司に逃げ込んで、殿上人たちとお話をしたのですけれど「月見をなさっていたのですか」と感心されてしまいました。
中には歌を詠む殿上人もおられます。
そんなようで、夜も昼も、殿上人の訪れは絶えません。
参内の前とか、特別な用事がない時以外は、必ずお立ち寄りになられます。

清少納言先生:はい、お疲れ様でした。
舞夢    :なかなか、いいお話です。
清少納言先生:ありがとう、わかってくれて。

清少納言先生の心に残る典雅にして一番好きな生活だったのだと思う。
華やかな宮廷生活、書き残してくれた清少納言先生に感謝。

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